働き方

2023.05.09

日本人は仕事に何を求めているのか 調査結果に見る国民性

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世界最大の人材サービス企業、ランスタッドが20年間にわたり行っているワークモニター調査がある。34市場、18‐67歳の3万5000人の労働者調査にしているものだ。

働き方や仕事について日本は独特の文化を持つ国だが、何が世界と異なるのかを見ていくと面白いものが見えてくる。またそれは、コロナを経て、インフレに直面するいま、企業やリーダーが組織運営の方針を考えるヒントにもなるはずだ。

・仕事に対する価値観をどうとらえ、何を基軸とした組織運営をするか?
・働く場所や時間の柔軟性をどう考えるか?
・雇用に対する働く人の不安や心配とどう向き合うか?

これらの問いに答えながら、生産性をどう高めていくか。調査結果から考察してみたい。

日本人の人生において仕事とは?

調査によると、世界で72%の人が人生において仕事は重要だと答えたが、日本人は48%に過ぎなかった。連動するように、世界では57%の人が仕事はやりがいを与えてくれると感じていると答えているのに対し、日本人は38%の人しかやりがいを感じていない。

仕事は重要で、やりがいを与えてくれていると感じるのは、雇用主の価値観と目標が自分の価値観や目標と一致していると感じているということに大きく影響していると考えられる。世界で見ると73%の人が一致していると答えているが、日本では51%にとどまっている。

一方で、社会や環境の問題に関して自分の価値観にあわない企業には就職しないという割合が、日本では36%と世界の42%と比べても低いのは面白い。つまり日本では、あくまで相対的にではあるが、人生における仕事の重要性や、仕事がやりがいの源である割合は低く、会社の価値観や自分の価値観の一致を求めない人の割合が多いようだ。

多くの企業がビジョンや価値感の言語化、SDGsへの取り組みなどを通して社会とのつながりに力を入れているが、その影響はまだじわじわと来ている位にとどまっているのかもしれない。

働き方の柔軟性をどう考えるか?

今の仕事で、「勤務時間の柔軟性があるか」という問いでは、日本と世界に大きな違いはない(日本55%:世界57%)。面白いのはここからだ。

柔軟性がないことを理由に仕事をやめたことがあるか、については、日本は16%、世界は27%と開きがある。さらに、勤務時間に関して柔軟性がない仕事は引き受けない割合は世界で45%だが、日本では33%にすぎない。勤務場所に関しても同じような傾向がみられる。
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文=西野雄介

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