リーダーは「組織の自由度」をどのように定めるべきなのか?

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社会に出るときに、イギリスのパブリックスクールでの生活をもとに厳格な規律の中での自由の精神を描いた『自由と規律』(池田潔著、岩波新書)を読んで以降、僕の社会人生活の中で「自由」は一つの大きなテーマだった。天邪鬼的に人と違うことばかり言ってみたり、みんなが嫌がることを好き好んでやってみたりしたのは、自由への欲求の表れだったのだと思う。
 
リーダーにとって、この自由をいかにうまく使いこなすかは重要なテーマであり、答えのない旅路の一つである。

誰もが自由に言いたいことを言い、やりたいことをやるだけではチームにならないし、大きな仕事を成し遂げることはできない。逆に全く自由がなく、指示されただけのことをこなしていくだけの組織にイノベーションは起きない。

リーダーは、チームや市場などのビジネス環境によって、この自由度を活用しながら、カルチャーをコントロールしていくことが求められる。
 
かつて、グーグルが金曜日の夕方に創業者と社員が自由に議論しあうTGIFのミーティングを廃止したときに、「性善説経営の終焉」と言われたことがあった。性善説の中では、自由度が高く、誰もが伸び伸びと働くことができる。一方で、異なる意見を乗り越え成果を出していくためには、高いコミュニケーションコストが求められる。

数十万人の組織でも3人のチームでも、どんな組織でもこの性善説と性悪説の間を行き来しながら、今の自分達に必要な自由度を調整していくことがリーダーの重要な仕事なのである。
 
ただ、これは日々忙しく過ぎていく中で意識するのがとても難しいテーマでもある。そこで意識するとよいのが、「原則・ガイドライン・ルールの」からなる一つのフレームワークだ。
 
例えば、コロナ下での働き方が終わりかける中で、オフィスに戻るべきか、在宅勤務可能にするかの議論をする場合を考えてみよう。
 
原則:自由には責任が伴う。責任を果たしていれば自由である
ガイドライン:業績がよくない場合、出社をして周りから学ぶべきである
ルール:週3日の出社は必須である

この3つのうちどれを選ぶかは、チームの成熟度、ビジネスの競争環境等によって大きく変わってくる。そして選んだ後にどんなカルチャーができていくかも違ってくるので、正しい選択をすることが極めて重要になってくる。

未経験の人ばかりのチームの動きを原則に委ねてしてしまうとカオスになってしまうだろうし、逆に専門家ばかりのクリエイティビティが求められるチームをルールで締め付けると、よいアイデアが全く出てこなくなることもある。大抵の場合、一つのチームに両方のタイプの人が混同しているので余計に難しくなってくる。
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文=西野雄介

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