働き方

2024.02.13

日本人は会社への依存度が高く、しかし出世欲は弱いのか?

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世界最大の人材サービス企業、ランスタッドが21年間にわたり行っているワークモニター調査がある。34の国と地域で、2万7000人の労働者を対象に調査しているものだ。世界の市場を調査しているため、日本の特徴が浮き彫りにでる面白い調査の一つである。

日本人は出世欲が低い?

まず、「出世をしたいか?」という問いに対して「はい」と答えた人は、世界平均が47%だったのに対して、日本では21%と大幅に低い数字だった。この問いと緩く結びついているのが仕事に安定性に関する質問だが、日本では「仕事を失う心配がある」と答えた人が18%で世界平均の45%からするとかなり低い数字になっている。

昨年来の米系大手テック企業の大型リストラなど雇用の流動性が高い市場から比べると日本は労働者が守られているので、安定感が高いということだろう。ある意味、深層心理で「出世や成長をしなくても仕事が保証されている」感覚がある状態なのである。流動性の高い国では、競争も激しいので、出世=給与アップというわかりやすく成長を感じられる指標への興味も高い。

そのため、「職場でキャリアプランをオープンに話せるか」という問いでは、日本では20%に留まる結果だった。世界平均は46%である。日本では目の前の部署や上司に対してキャリアについて話すことに対する罪悪感も強く残るし、上司の役割として、部下のキャリアを共に考えるということがほとんどない様子がみてとれる。

もちろん日本でも転職者は毎年増え、早期退職の募集も相次ぎ、人材の流動性も増している。一昔前の安定感はどこにもなく、いつ自分がどうなるかわからないという意識は高まってきている。時代毎の人の意識の比較という意味では良くも悪くも大きく変わってきているし、これからも変わり続けるだろう。ではどこまで変わるのか。その問いに対するヒントが世界との比較にある。

キャリアやモチベーションに対する責任は誰にある?

コロナを経て、日本のみならず世界的にワークライフバランスへの意識が急激に高まった。家族と過ごす時間の大切さや自分時間のあり方を見直した人も多いだろう。2023年から徐々に多くの会社が出社の義務化に戻り始めたなかで、人々の意識はどうなっているのだろう?

面白いのが、「ワークライフバランスの改善に責任をもっているのは会社である」と答えた人の割合だ。世界平均が29%に対して、日本は56%。世界では多くの人がその責任を持っているのは従業員自身だと考えている。
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文=西野雄介

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