リーダーシップ

2024.01.29 13:00

争いの解決に効果的な「許す」力を身につけるには? 専門家がアドバイス

Getty Images

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対立や争いを効果的に解決しようとする際に、鍵になるのは「許すこと」だと言っても過言ではない。とはいうものの、「許せない」という気持ちを乗り越えることは、口で言うよりもはるかに難しい。自分にとって重要な、深い人間関係が絡んでいる場合はなおさらだ。

著作家・講演者であり、「許すこと」の問題を専門に扱うリーダーシップコーチでもあるディオンヌ・ニコルズ=ジャーメインはこのほど、筆者が司会を務めるポッドキャスト番組『Negotiate Anything』に出演し、専門家としてアドバイスしてくれた。人生の中で遭遇する最も困難な対立や争いのなかで、相手を許して、もっとうまく乗り越えるにはどうすればいいのかについてだ。

交渉や争いの解決に「許すこと」が果たす役割

ニコルズ=ジャーメインによると、争いや対立を解決するプロセスと、関係の健全化に向けた修復過程では、「許すこと」が決定的な役割を果たす。また、許すことを学べば、自分自身のウェルビーイングや、自分が達成しようとしている目標に、プラスの影響を与えられる可能性がある。

「対立が起きても、それらの状況を許せるようになり、自分が次につくり出そうとしている状況から解放されるところを想像してほしい」とニコルズ=ジャーメインは話す。「そのようなかたちで状況を受け入れることができると、無限の可能性が開かれる」

「許すこと」と聞くと、個人的な関係での対立が思い浮かぶが、ビジネスでのやりとりにおける「許し」にもまた、価値がある。怒りや恨みといった感情を手放せば、心が解放されて、目の前のことにより集中し、より我慢強く、より協力的になる。こうしたことのすべてが、交渉や長期的な関係にとって、より良い結果をもたらしてくれるのだ。

許しとは何か

ニコルズ=ジャーメインによれば、許しとは、意図的に心を解放する行為であり、相手の在り方というよりも、非生産的な感情から自らを解き放つ自分の力量に関係がある。

「相手からの謝罪の有無に関係なく、意識的かつ意図的に、自分の怒りや恨みを手放そう、と決断することが許しだ」とニコルズ=ジャーメインは説明する。

これは、相手に対して、自分を怒らせたり傷つけたりしたと認めてほしい、謝罪してほしい、と求めないよう意識的に努力するということを意味する。多くの人にとって、それは非常に困難なことだ。なぜなら、ごく自然な人間の本能に逆行する行為だからだ。
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翻訳=ガリレオ

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