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2024.01.02 16:00

有意義な人生を創るために 実践すべき6つの「構築」を心理学者が解説

日下部博一

Getty Images

学術誌『Frontiers In Psychology』に掲載された研究論文のなかで、研究チームは、有意義な人生を送るための6つの戦略から成る「総体的な人生構築(holistic life-crafting)のモデル」を提唱している。

「人生構築」とは、個人の価値観、目標、願望に基づいて自分自身の人生を設計する、意図的かつ能動的なプロセスを指す。

人生が突き付けてくるさまざまな要求に関して意識的にバランスをとり、また手持ちのリソースを活用することで、個人は、人生のさまざまな側面をつくり変えて、有意義で満足できるものに変え、自分自身の成長とウェルビーイングを促すことができる。

この研究によると、有意義な人生を送るための「総体的な人生構築」においてとるべき6つの戦略は以下の通りだ。

1. 認知的な構築

研究チームによれば、認知的な構築とは、仕事と人生のさまざまな側面をどのように受け止め、そこからどのような意味を引き出すかということにおける、意識的なマインドセットの切り替えを指す。

この戦略は、タスクや状況そのものを物理的に改変するのではなく、自分の視点を意識的に切り替えることで、変化を促すというものだ。例えば、長時間労働のために仕事と生活の境界線を維持するのに苦労している人なら、仕事とは無関係のアイデンティティを培い、日常のなかで、精神的に仕事から切り離される時間をつくることから始めることができるだろう。

さらに、自分の能力に自信がもてない人は、自分の仕事や日々の成果のポジティブな側面に注目することを学ぶ訓練をして、遂行できなかったことについて悩む時間を減らすよう心がけてもよい。

このように認知的姿勢を切り替えることで、行動変化や感情制御の改善につながり、自分の人生を主体的により良くコントロールし、意義を見いだしているという感覚が生まれる。

2. 環境的な構築

有意義な変化を生み出す2つめの方策は、職場や家庭などの生活環境に、外的かつ物理的な変化を加えるというものだ。環境的な構築は、人生の異なる領域のあいだに明確な境界線を引き、個人にとって重要な目標や経験に対して優先的に投資できるようになることがある。

環境的な構築には、例えば、愛する人や自分自身との時間を優先する、有意義な趣味に没頭する、仕事場と生活空間を分ける、リラクゼーションと創造性を育む家庭環境をつくる、心の支えになるようなポジティブな社会的つながりを周囲に築く、といった方法がある。

3. 関心の構築

関心の構築とは、自分にとって有意義であり、自分の持つ情熱や関心と共鳴する、楽しめる活動を能動的に希求し、開拓し、没頭することを指す。

研究によれば、有意義な活動に没頭することは、新たなスキルや優位性の獲得や、高いレベルの創造性の発揮を促す。努力が目に見える形で実を結べば、達成感と自信が湧き上がり、ある種の若返り効果が起きて、人生の他の領域においても目的追求がはかどるだろう。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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