UNDER 30

2024.01.22 12:30

クラシック音楽の感動を身近なものに ピアニスト角野隼斗が語るアップルの新音楽アプリ

「Apple Music Classicalは1つの作品に対して多くのメタデータがひも付く、クラシック音楽の特性を踏まえた上で、聴きたい作品を探しやすいユーザーインターフェースが特徴です。例えば数多くの小品によって構成されるバッハの『平均律クラヴィーア曲集』を検索すると、リストに表示される楽曲のタイトルがとても長いため、作品番号を指定して再生することが困難です。Apple Music Classicalは特定の作品に対して、配信するすべての楽曲をひも付けながらリストに表示します。私も様々な音楽家が演奏したバッハの平均律を探して、聴き比べるときに便利さを実感しています」

検索機能が充実するApple Music Classicalは、クラシック音楽に馴染みのなかったユーザーにも多くの発見をもたらしてくれるのではないかと、角野は期待を込めて語る。

「1枚のCDやレコードのアルバムを何度も繰り返し聴いていた頃と違って、音楽のサブスクリプションサービスが主流になった今では1つの作品を深く掘り下げて聴く機会が少なくなりました。好きな作品をとことん聴き比べてみることが、クラシックに親しみを持ている良い契機になると私は思います」

角野氏はApple Music Classicalが「これからクラシック音楽を深く知りたい方にも気軽に楽しめるサービスになってほしい」と期待を込め語る

角野氏はApple Music Classicalが「これからクラシック音楽を深く知りたい方にも気軽に楽しめるサービスになってほしい」と期待を込め語る

Apple Music Classicalにはドルビーアトモスによる空間オーディオに対応する作品も数多く揃う。角野は、空間オーディオが特にクラシック音楽と相性が良いという印象を持っているという。

「ドルビーアトモスによる空間オーディオは、1つひとつ音の細部まで迫る『リアルな音楽リスニング』を体験させてくれます。360度全方向から音が迫るコンサートホールのような臨場感が得られることもまた空間オーディオの魅力です」

ファンとのつながりから、自分にしかできないことが見えてきた

アルバム『HAYATOSM』をリリースしてから、角野氏は自身の個性と向き合う姿勢に変化が生まれたと振り返る。

「世の中にたくさんのすばらしい作品があふれている中で、私がこの時代にできることは何かをいつも意識をしてきました。自分にしかできないことを表現するアーティストでありたいと。ストイックに自問する過程を経たからこそ、今では自分の個性を大事にできていると思います」

クラシック音楽には「難解」というイメージがつきまといがちだ。アルバムを制作している頃、角野氏はクラシックを誰もがより親しみの持てる音楽にするために様々な試行錯誤を重ねてきた。
次ページ > クラシック音楽の世界に入門したい人たちにもおすすめ

編集=安井克至

タグ:

連載

30 UNDER 30 2023

ForbesBrandVoice

人気記事