宇宙

2024.01.17 14:00

「火と水」が地球外文明探査の重要な手がかりとなる 最新研究が示唆

論文の共同執筆者で、書籍『Little Book of Aliens』の著者であり、米ロチェスター大学のHelen F. and Fred H. Gowen教授(物理学・天文学)を務めるアダム・フランクは「酸素が存在しない惑星において、生物の誕生は可能かもしれないし、知的生物の誕生も可能かもしれない」と指摘する。「だが、すぐに利用できる火の発生源がなければ、より高度な科学技術は決して発達しない。なぜなら(科学技術には)燃料と溶解が必要だからだ」

炭素の探索

Nature Astronomyに掲載された別の論文では、岩石惑星の大気に含まれる二酸化炭素の存在量が(同じ恒星系の他の惑星と比較して)少ないのは、その惑星の表面に液体の水が存在することを示している可能性があるとの主張が展開されている。金星や火星に比べて地球の二酸化炭素濃度が低いのは、海洋を含む水循環に起因する。論文によると、同様の傾向が見られる系外惑星には、海と生命が存在するかもしれない。論文共同執筆者のフリーダー・クラインは「地球では大気中の二酸化炭素の大半が、地質学的規模の時間スケールで、海水中や岩石中に隔離されている。このことが数十億年にわたり、気候と生命存在可能性を調整する助けになっている」と説明している。

特徴的な指標

重要な点は、この二酸化炭素の特徴的な指標が他の多くの生命存在指標とは異なり、NASAのJWSTによる赤外線観測で取得できることだと、研究チームは指摘している。二酸化炭素は赤外線を吸収しやすいため、系外惑星の大気中で容易に検出できる。JWSTは2022年7月、地球から約700光年の距離にある太陽に似た恒星を公転する高温の巨大ガス惑星「WASP-39b」の大気に含まれる二酸化炭素を検出した。酸素や二酸化炭素などのバイオシグネチャーは、系外惑星の大気を通過する光を分析する分光法を用いて、惑星の大気中で検出することが可能だ。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の助教(惑星科学)を務めるジュリアン・デ・ウィットは、プレスリリースで「太陽系外惑星科学の至上目標は、生命居住可能な惑星を探索し、生命の存在を確認することだ。だが、これまで議論されてきた特徴は、最新の天文台の観測能力が及ばないものばかりだった」と述べている。「今回、系外惑星の表面に液体の水があるかどうかを調査する手段を手に入れた。そしてこれは、今後数年以内にとりかかることができる」

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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