宇宙

2023.12.28

太陽系近くの系外惑星に「80億年前に誕生の微生物」が生息か、最新統計分析

銀河系内にある生命存在可能な岩石惑星のイラスト(NASA/JPL-Caltech/R. Hurt)

興奮状態の宇宙人たちが、戦いの相手を探し求めて宇宙を巡っているというのは、今なお大半のSF作品に欠かせないアイデアだ。だが「ファーストコンタクト」の相手は、ダース・ベイダーよりも太陽系外のアメーバになる確率の方がはるかに高い。

単純な生命が大量に存在するなら、それは古くからの存在でもあり、生命を現在育んでいる惑星の候補全体の約3分の1で、80億年以上前に出現したと考えられるというのが自身の主張だと、天文学専門誌The Astrophysical Journalに最近掲載された研究論文を単独で執筆したピエロ・マドーは、筆者の取材に応じた電子メールで説明している。

80億年は、太陽系の年齢のほぼ2倍に相当する。

米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の特別教授(天体物理学)を務めるマドーは論文の中で、スペクトル型がG型やK型の主星を公転している地球類似惑星で微生物が見つかることが、地球からどのくらい近くで期待できるかを統計的に推定するための実用的なロードマップを提示している。

マドーによると、太陽から326光年以内には、恒星のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内にある岩石惑星が1万個存在する可能性がある。ハビタブルゾーンは、恒星の周囲で、惑星の表面に水が液体で存在するのに適した条件の領域で、このような惑星を「温暖な地球型惑星(TTP)」と呼ぶことにする。

初期の星形成が重要だった

マドーによれば、太陽近傍でのTTPの形成は間欠的で、約100億~110億年前の星形成が非常に活発だった時代から始まった可能性が高い。その後、約50億年前にピークを持つ新たな星形成活動が起こり、これによって太陽系が形成された。

天の川銀河(銀河系)の伴銀河の1つ、いて座矮小楕円銀河が、過去3回にわたって銀河系の恒星円盤に衝突したことが、天文学研究から判明しているとマドーはいう。太陽系の形成は、いて座矮小楕円銀河の1回目の通過によって引き起こされたとする説は、信憑性が高いように思われるとのことだ。

マドーによれば、大半のTTPは太陽系より古い(45億年より前に形成された)という。このTTPのうちのどのくらいの割合が、ゆくゆくは単純な微生物が発生する可能性があるほど「地球に類似」した「生命存在可能な環境」だったかについては不明だ。

もしK型星を公転するTTPの1%以上で、地球の生命誕生と同じくらい早期に微生物が発生したとすると、最も近い「生命を宿している地球類似惑星」は、65光年先にあるだろうと、マドーは論文の中で指摘している。
次ページ > アビオジェネシス(無機物からの生命発生)の頻度の解明が鍵に

翻訳=河原稔

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事