アビオジェネシスは展開が速いとし、単純な生命は最終的に「すべての」TTPで発生するとする2つの仮定を立てようと、マドーは続ける。そうすると、今回の母集団研究では、地球に最も近い生命を宿す惑星は16光年未満の距離にあると予測される。だが、もし将来の調査でこの範囲内に生命存在指標が見つからない場合は、2つの主要な仮定のうちの1つを見直す必要があるという。
それでも、次世代の大型地上観測施設と観測機器を用いた、生命居住可能性指標や生命存在指標の探索には、慎重な楽観論を唱える理由があるかもしれないと、マドーは述べている。
地球外文明の発見についてはどうか?
天文学者で、地球外知的文明探査(SETI)の先駆者の故フランク・ドレイクは、1961年に発表した有名な「ドレイクの方程式」で、恒星間距離の通信を活発に行っている知的文明が銀河系にいくつ存在する可能性があるかに関する複数の確率論的なパラメーターを設定した。今日「N」以外のドレイクのパラメーターの多くは、代入する数値が明らかになりつつある。「人類と交信できるかもしれない(地球外)文明の数」を与えるパラメーターNに対しては、人類が生存している間に答えが得られる可能性は低い。
ドレイクの方程式には、時間や年齢が明示されていない。つまり、ドレイクの式では全体の一部しかわからないと、マドーは指摘している。太陽近傍領域にあるTTPの大半がいつ形成されたかや、微生物が豊富に存在するなら、微生物の出現は通常、地球の生命誕生の前か後か、などの疑問に答えるには、別の数学的アプローチが助けになるかもしれないという。
それでも生命は非常に希少だと判明するかもしれない
マドーによれば、生命存在指標は検出が極めて難しくなるという。地球から検出すべき生命存在指標が3260光年以上の範囲内に存在しないほど、生命は非常に稀な存在である可能性もあると、マドーは説明している。すぐ近くの地球外知的生命体の存在については、どのようなことが推測できるだろうか。
マドーによると、より古い「地球類似惑星」ほど、環境を変化させ、検出可能な酸素を含む生命存在指標を生成する能力を持つ、十分に複雑な生命を発達させている可能性が高くなるかもしれない。
近々稼働する最新の地上および宇宙望遠鏡により、マドーのモデルに代入するための、より高精度の統計データが得られる日も近いだろう。だが、やはりドレイクに負うところは大きい。
フランク・ドレイクは、生命存在可能な惑星の数について考えるための、時代を超越した枠組みを科学者らに提供したと、米コーネル大学の天文学者で、同大のカール・セーガン宇宙生命研究センターの所長を務めるリサ・カルテネッガーは、筆者の取材に応じた電子メールで指摘している。自身にとって最もワクワクするのは、私たちがそれを突き止める一歩手前まで来ていることだと、カルテネッガーは述べている。
(forbes.com 原文)