ウェッブ宇宙望遠鏡が太陽系外惑星の大気から二酸化炭素を初検出

図は現在の理解に基づく太陽系外惑星WASP-39bの外見を表している。ウェッブおよびその他の宇宙および地上望遠鏡による間接トランジット観測に基づいて描かれた。ウェッブ宇宙望遠鏡はこの惑星の直接画像を撮影していない。(C)NASA NASA, ESA, CSA, JOSEPH OLMSTED

初めて太陽系外惑星の大気中で二酸化炭素が決定的に発見された。しかもそれは、初めての試みでのことだった。

地球の大気の重要な成分である二酸化炭素が、2022年7月10日にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって、地球から約700光年の彼方にある太陽類似星を周回する巨大な高温ガス惑星WASP-39bの大気中で見つかった。

WASP-39bは、JWSTが公式観測した最初の太陽系外惑星だった。

その発見はすでに驚くべきJWSTの成果にすばらしい1ページを加えた。JWSTは、時空のさざ波によって知られている最も遠い恒星の画像や、これまでとまったく異なる木星の姿、そしては壮大な渦巻銀河の中のこれまで見たことのないガスや塵の画像を届けてきた。

「データを初めて見た時から、自分たちがすばらしい発見に立ち会っていることはあきらかでした」と8月24日にNatureで発表された論文の共著者で、National Centre of Competence in Research(NCCR)PlanetSのメンバーでもあるジュネーブ大学の研究者、ドミニク・プティ・ディー・ド・ラ・ローシュは話す。「史上初めて、太陽系外の惑星で二酸化炭素が明確に検出されました」

この発見は、ウェッブ宇宙望遠鏡がさまざまな太陽系外惑星に存在する二酸化炭素といった重要な分子を特定できることを示しており、研究者たちは銀河系全体における惑星の組成、形成、進化に関する新たな洞察を得ることができるだろう。

しかしながら、この膨張した惑星は地球とは似ていない。WASP-39bは、水星が太陽を周回するよりもずっと恒星の近くを公転しており、大きさは木星の約3分の1ほどだという。温度は約900℃に上る。

なぜこの発見がそれほど重要なのだろうか?


2022年7月10日にウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外分光器が測定した高温巨大ガス太陽系外惑星であるWASP-39bの透過スペクトルは、太陽系外の惑星に二酸化炭素が存在する明確な証拠を初めて明らかにした。これは、太陽系外惑星の波長3~5.5マイクロメートルを含む詳細な透過スペクトルを取り込んだ初の事例でもある。(c)NASA, ESA, CSA, LEAH HUSTAK (STSCI), JOSEPH OLMSTED(STSCI)

2022年7月のJWSTの「初観測(first light)」画像で、ほとんど見落とされたのが、太陽類似星を周回する太陽系外惑星であるWASP-96bの大気中にある水の存在や、雲と煙霧の証拠を示すデータだった。それらはJWSTの近赤外カメラおよびスリットレス分光器(NIRISS)を使用して発見された。このWASP-39bでの二酸化炭素の新たな発見は、この最先端科学機器が完璧な仕事をしていることを示す新たな証拠である。
次ページ > ウェッブ宇宙望遠鏡のミッションは続く

翻訳=高橋信夫

ForbesBrandVoice

人気記事