「これらの星には、生命が存在できる潜在的可能性がある」と、プエルトリコ大学アレシボ校の惑星宇宙生物学者アベル・メンデスは述べる。メンデスは、世界中の宇宙科学者たちが利用するオンラインデータベース「Habitable Exoplanets Catalog(居住可能な系外惑星のカタログ)」の管理者だ。
このハビタブル(居住可能)な星のカタログに、最近になって追加されたのが、2017年11月に発見された「ロス128b」だ。これは、おとめ座の方向の約11光年の距離にある岩石でできた星だ。そして新たに追加されそうなのが「ケプラー1652b」で、白鳥座方向に800光年以上離れた場所にある。
しかし、この分野の研究の歴史はまだ浅い。生命の存在の可能性をさぐるためには、NASAが打ち上げを計画中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が稼働するのを待たなければならない。
一方で、生命の存在に欠かせない条件として判明しているのが、惑星の大きさだ。例えば水星は小さいため大気が少なすぎ、木星は大きいため大気が多すぎて、いずれも生命が生きるのが難しい環境だ。どちらの惑星も液体の水が地表にないため、生命存在の可能性はない。
また、惑星の軌道も重要だ。「温度が適度に保たれる位置であることが大事だ。恒星に近すぎると水が蒸発し、遠すぎると凍ってしまう」とメンデスは話す。
メンデスが最も生命体が存在する可能性が高いと指摘するのが「プロキシマケンタウリb」だ。この惑星の大きさは地球に近く、ハビタブルゾーンに位置し、偶然にも地球から最も近い系外惑星だという。
しかし、プロキシマケンタウリbは数十億年にわたり恒星からの放射線にさらされていると見られ、大気が消し飛んでいる可能性も高い。
2番目は「トラピスト1e」だ。太陽系から約39.13光年離れた距離にある、薄暗い恒星「トラピスト1」の周りを回る7つの惑星の1つだ。ここには地球の250倍もの水がある可能性がある。
居住可能な星は数千個ある可能性
だが他の6つの惑星と同様に自転と公転の周期が等しいため、トラピスト1eの半分は常に恒星を向いているが、残り半分は常に暗闇に包まれている。それでも生命体が存在する可能性がゼロではないとメンデスは言う。
「暗闇に包まれている反対側にも熱が回る可能性があるため、海と大気があれば大きな問題ではない」
カタログに登録される系外惑星の数は、今後数年で急増すると見られる。NASAが今年4月に打ち上げた系外惑星探査衛星「TESS」によって、2万に及ぶ新たな系外惑星が発見されると予測されるからだ。そのうち数%がカタログに登録されるだろう。
これは始まりに過ぎないとメンデスは言う。「夜空に見える星の最大50%は、居住可能な惑星を衛星として持つ恒星の可能性がある」というのだ。
銀河系には2000億の星があるとされているため、その半分の1000億は生物が生息している可能性のある惑星を従えているかもしれない。メンデスに10年後について聞いてみると、彼はしばらく考え込み「居住可能と推測できる星の数は、数千に達しているかもしれない」と語った。