テクノロジー

2022.08.30 09:00

ウェッブ宇宙望遠鏡が太陽系外惑星の大気から二酸化炭素を初検出


「WASP-39bでこのように明確な二酸化炭素の信号を検出したことは、もっと小さな地球サイズ惑星での大気の検出や水、メタンなどその他の気体の測定にとってよい兆候です」と、今回の観測を実施した国際研究チームのリーダーであるカリフォルニア大学サンタクルーズ校のナタリー・バタラはいう。

NIRISSは、対象となる太陽系外惑星が主星の正面を通過したときにしか使用できない。それが起きたとき、恒星の光の一部が惑星大気を通過してから望遠鏡に到達する。「惑星の大気はこの光の一部の色を他の色よりも効果的に遮断し、その程度は大気を構成する物質の組成や厚さなどの要素によって変わります」と同研究の共著者で、NCCR PlanetSのメンバーでもあるジュネーブ大学天文学教授、モニカ・レンドルはいう。

研究者らはその後、受け取った光を色別に分解することで、惑星大気に存在する二酸化炭素などの気体や化学物質の特徴的な「指紋」を特定することができる。


ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器(NIRSpec)がとらえた一連の光の曲線は、惑星が手前を横切った2022年7月10日にWASP-39星系から送られてきた光の3つの波長(色)の明度の変化を示している。この変化は周回する惑星が恒星と望遠鏡の間を移動し、恒星からの光の一部を遮断したときに起きる。ILLUSTRATION:(c)NASA, ESA, CSA, LEAH HUSTAK (STSCI), JOSEPH OLMSTED (STSCI)

惑星の大気組成を理解することで、その惑星の起源や進化に関する洞察を深めることもできる。「二酸化炭素分子は惑星形成の歴史を追跡する感度の良いトレーサーです」と研究の共著者でNCCR PlanetSのメンバー、ベルン大学のAmbizioneフェロー、エルスペス・リーは語った。

ウェッブは、これまでで最も野心的で複雑な宇宙科学望遠鏡であり、6.5メートル巨大な主鏡ははるか彼方の星や銀河のかすかな光を検出することができる。同望遠鏡は、遠方の恒星や惑星および雲や気体、塵などが発する赤外線を検出することに特化して設計されている。

最初の10年間のミッションで、ウェッブ宇宙望遠鏡は太陽系を研究し、太陽系外惑星を直接画像化し、最初の銀河を撮影することで、宇宙の起源の謎を探究する。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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