欧州

2024.01.12 12:30

ウクライナ軍、ロシアが完成間近の鉄道橋を破壊 補給に新たな打撃

高機動ロケット砲システム(HIMARS)の射撃の様子=シャッターストック

こうした攻撃にさらされてきたため、ロシアは第4の補給線として海岸沿いに鉄道を建設し始めた。この鉄道路線もウクライナ軍のロケット砲や遠距離攻撃兵器の射程に入るものの、少なくとも榴弾砲による攻撃からは列車を逃がすことができる。
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ただ、この鉄道路線はカルミウス川を越える必要がある。カルミウス川はフラニトネを通って南へ流れ、戦争拡大の初期からロシア軍が占領するマリウポリでアゾフ海に注ぐ。

ロシアの労働者がフラニトネで橋の建設に本格的に取り掛かったのは昨年9月のことだった。ウクライナ軍が攻撃した時には完成間近だったとみられる。キーウ・ポストのコルシャの記事によれば、米国製の高機動ロケット砲システム(HIMARS)が使われた可能性が高い。おそらく、射程80kmでGPS(全地球測位システム)誘導のM30/M31弾が一斉射撃されたのだろう。

建設中だったこの橋を、ウクライナ軍がこれまで攻撃できなかった理由があったわけではない、とコルシャは指摘する。
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「ロシア軍の意思決定を揶揄したい人ならおそらく誰でも(中略)、ウクライナ軍の精密誘導弾の射程に完全に入る川に鉄道橋を架けようとするロシア軍の大掛かりな土木作業を、なんとも愚かしい計画と考えるだろう」とコルシャは書いている。

さらに「クレムリンに批判的な向きは、橋の建設が始まってからまる5カ月たったあとでそれを破壊し、ロシアの橋建設業者の作業を降り出しに戻したという点に、(ウクライナ側の)ユーモアのセンスすら感じるかもしれない」と続けている。

既存のものであれロシア側が必死に構築中のものであれ、ウクライナ南部の補給線を攻撃されるたびに、ロシア軍の連隊や旅団は圧迫され、物資が不足する。ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)で、ロシア軍が数千人以上の兵力を投入しながら、数百人規模のウクライナ海兵隊部隊が保持する橋頭堡をいまだに排除できていないのも、それが理由のひとつだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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