161高地、162高地、166高地と呼ばれるこれらの丘は、ロシアがウクライナで拡大して1年11カ月目に入る戦争の初期以来、ロシア軍の連隊が支配してきた。
昨年10月、ウクライナ軍の反転攻勢をロシア軍が押しとどめられたのも、これらの高地を支配していたことが寄与した。だが、ロボティネ南東のこれらの丘をめぐる戦いが終わったと思ってはいけない。
戦いは終わっていないのだ。今週、ウクライナ空中強襲軍(空挺軍)の最強部隊である第82独立空中強襲旅団はこれらの丘周辺で逆襲した。軍事アナリストのトム・クーパーによれば、第82旅団はロシア軍に最近奪われていた土地の大半を奪還し、「161高地、162高地、166高地を結ぶ塹壕(ざんごう)システムにくさびを打ち込んだ」。
この攻防戦はこの戦争の新たな局面の縮図にもなっている。双方とも決定的な優位に立てず、ひたすら相手を消耗させようとする陣地戦・消耗戦という局面だ。
ウクライナ側は、もし当初161高地、162高地、166高地の軍事的な価値に気づいていなかったとしても、昨年の夏の終わりにはそれを理解し、懸念すら抱いたに違いない。反転攻勢部隊が南進してロボティネを解放したあと、東のベルボベに向けて進軍した時、これらの丘に陣取るロシア軍の5個か6個の連隊と正面から対峙(たいじ)することになったからだ。
クーパーは当時すでに、ロシア側によるこれらの高地の支配がもつ意味合いを理解していた。ウクライナ軍が「どうやれば161、162、166高地とベルボベの間を突き抜けられるのかはわからない」とニューズレターに記している。
実際、第82旅団とウクライナ地上軍(陸軍)の第33、第47、第116各独立機械化旅団を中心とする反攻部隊は、これらの丘の手前で停止した。損耗し、疲弊した機械化旅団は休息や補充のために後退したのかもしれない。いずれにせよ、第47旅団と第116師団は昨年10月から11月にかけて東部ドネツク州のアウジーイウカ方面に転用され、ロシア軍の恒例の冬季攻勢に対応している。