スペクトラム2が求められる場所も広がっている
スノーデン氏はアドビのアプリケーションが使われている環境の変化について、2つのことに着目しながらスペクトラム2の体験をデザインしてきたと語る。1つはユーザーが日常的に使うデバイスの種類が多様化していることだ。1人のユーザーがパソコンはMacとWindows、スマホはiPhoneとAndroidを使い分けている場合も今は珍しくはない。いかなるプラットフォームでもアドビの製品は、誰にでも簡単に、心地よく使えることが求められている。
「私たちは『スキルトランスファー』というコンセプトに従って、ユーザーがあるプラットフォームで身に着けたアドビ製品のスキルや知識を、次に異なる2つめ、3つめのプラットフォームでも活かせるようにユーザー体験をデザインしてきました。プラットフォームを変えた時に、アプリの使い方を学び直す必要はありません。スペクトラム2のデザインシステムはスキルトランスファーの考え方にも基づいています」
もう1つはメタバースや立体空間をデザインするためのツールが現在は求められていることだ。
「デジタルクリエーションがAR/VR、空間コンピューティングの新時代に突入しようとしています。2Dと3Dの異なるデジタル空間から生まれる発想をつなぐデザインシステムとして、これからアドビのスペクトラム2が多くのことを求められるでしょう」
アドビは3Dオブジェクトのデザイン・作成のためのアプリケーション「Adobe Substance 3D」を提供している。その中に含まれるModelerという3Dモデリングツールには、クリエイターがVRヘッドセットを装着して立体空間の中でオリジナルの3Dモデルを作ったり、2Dのデスクトップ表示に切り替えてパソコンによる作業をシームレスに続けられる機能がある。本製品から培ったノウハウが、今後スペクトラム2の進化にも活かせる可能性をスノーデン氏は示唆した。
スペクトラム2の背景には、新しい時代のデジタルクリエーションが持つ可能性を捉えながら柔軟に進化するアドビの姿が見えてくる。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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