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2024.01.12 10:30

10年続くユーザー体験を今、再構築する理由 AI時代のUI「スペクトラム2」

安井克至
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「既存のアプリケーションをベースにプロトタイプを作り、なるべくユーザーが使う環境に近づけて検証を重ねています。プロトタイプは社内のクリエイターと、極少人数の外部のクリエイターにも協力を仰ぎながらベータテストをしてきました」

これまでにプロトタイプの提供を通じて集まったフィードバックの中には、すでにユーザーインターフェースの美的観点、あるいはユーザーにもたらす利便性に対する多くの期待と要望が寄せられているそうだ。

生成AI「Adobe Firefly」の経験がスペクトラム2に活きた

スノーデン氏はアドビ独自の生成AIを搭載するAdobe Fireflyのデザインも担当している。Adobe Fireflyを誰もが気軽に使える生成AIアプリケーションにするために、培ってきたノウハウがスペクトラム2のデザインにも活きた。

例えばAdobe Fireflyでは「窓辺に座って、街並みを眺めているふわふわの猫」といったように、アプリケーションのテキストボックスに3つ以上の単語を含む文章を「AIプロンプト」として入力するだけで、AIが器用に画像を生成してくれる。だが、毎回ユーザーが意図したどおりの画像が作られるわけではない。AIプロンプトをできる限り説明的にすれば、期待する画像に近づけることもできるが、アドビのデザイン担当チームは別の手段を講じた。

Adobe Photoshopなど、プロフェッショナル向けのツールで培ってきたマニュアルによるスタイル調整、写真設定のコントロールパネルをユーザーインターフェースに組み込み、自分の意図した画像に手直しができる機能を取り込んだ。Adobe Fireflyであれば、テキストだけではAIに対して説明しづらい画像も、色合いや明るさなど微妙なニュアンスを整えながら「欲しかったAI画像」に生成できる。

「多くの場合、新しい技術の多くは誕生当初には人々から理解を得られず、威圧的なものとして捉えられがちです。生成AIについても、話題を耳にしたことはあるけれども使ったことはないという方々が、最初に成功体験を得られるアプリとしてAdobe Fireflyを提供したかったのです」

ウェブ版Adobe Fireflyのユーザーインターフェース。複数の生成画像の候補からイメージに合うものを選択。色合いや明るさをさらに調整できる

ウェブ版Adobe Fireflyのユーザーインターフェース。複数の生成画像の候補からイメージに合うものを選択。色合いや明るさをさらに調整できる

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編集=安井克至

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