欧州

2023.12.27 12:30

待望のF-16戦闘機がいよいよウクライナへ 防空強化に期待

F-16戦闘機(Shutterstock.com)

F-16戦闘機(Shutterstock.com)

ウクライナ空軍が、欧州諸国から供与される米ロッキード・マーティンの中古のF-16戦闘機のうち、最初分をいよいよ受け取ろうとしている。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は22日、オランダ政府が「第1陣となる18機のF-16をウクライナに引き渡す準備を始める決定」をしたことについて、マルク・ルッテ首相に謝意を伝えたと明らかにした

オランダ国防省はF-16の引き渡しに関して、事務手続きが整い、ウクライナ国防省がふさわしい航空基地、そして訓練を受けた十分な人員を確保してからになると強調している。

ウクライナ軍のパイロットはこれまで、機敏なF-16を操縦するための訓練をルーマニアで受けてきた。それを踏まえれば、18機のF-16は数日以内とは言わずとも、数週間以内にはウクライナに届き始めそうだ。

オランダのほか、デンマークとノルウェーが余剰分のF-16をウクライナに提供すると表明している。ウクライナ空軍は単発・単座のこの超音速戦闘機を合計で60機あまり入手できるかもしれない。これらのF-16は、性能がかなり劣る既存のMiG(ミグ)戦闘機やSu(スホーイ)戦闘機からなるウクライナ軍の航空戦力を増強することになる。

オランダからは、向こう1年かそこらのうちに計42機のF-16がウクライナに供与される見通しだ。第1陣の18機について、ウクライナ空軍のユーリー・イフナト報道官は「改良されたもの」と地元メディアに説明している。

それは正しい。ウクライナが受け取るF-16A/B MLU(Mid-Life Update=就役中改修)は、1980年代初めに生産された初期型を改良したものだからだ。とはいえ、たとえば米空軍がF-16に加えているような最新の改良が施されているとは期待しないほうがいい。

1990年代に登場したF-16A/B MLUはオランダやデンマーク、ノルウェーなど欧州のいくつかの国の空軍で就役しているか、最近まで就役していたものだ。レーダーは米ノースロップ・グラマンのAPG-66V2に変更されている。

このレーダーはオリジナルのAPG-66よりも素早く目標を探知でき、信頼性も高くなっている。しかし、同時に追跡できる目標はせいぜい2、3個の機械走査式レーダーだという点は変わらない。米空軍のF-16に採用されているAPG-83レーダーは電子走査式であり、同時に数十個の目標を追跡する能力をもつ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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