4.『地雷グリコ』青崎有吾

ヒロインの射守矢真兎(いもりや・まと)は、一見ちゃらんぽらんだが実は頭脳明晰な頬白高校の1年生。いつも彼女とつるんでいるのは、地味めだが友達思いの親友の鉱田である。
文化祭の場所取り合戦で、生徒会が誇るキレ者の椚先輩との対決を皮切りとして、目次には「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポーカー」といったタイトルが並ぶ。さて、どんなゲームだろう?との興味が、それだけでつのっていく。
学園を舞台にしたコミックを原作に、テレビアニメや浜辺美波主演で映画にもなった『賭ケグルイ』を思い出させるところもある。しかし、徹頭徹尾ギャンブルにこだわっていたあちらに対し、こちらはあくまでミステリ仕様で、理詰めの逆転劇を次々痛快に決めてみせる。
さらに、途中からは中学時代に遡っての因縁話となっていく。学園ドラマとしても盛り上がっていくのは、第三の女子・雨季田絵空が物語に加わってからだ。唯一の書きおろしであるしめくくりの最終話は、女子たちの連帯を描くシスターフッドの物語として昇華される点でポイントも高い。