影響を受けた科学者
ムニタはチリのサンティアゴから南に300 km離れたリナレスという町で育った。年少時から科学と技術への関心を深め、特に、高校時代の科学教師、ヘクター・パラダに影響を受けた。「科学に生涯を捧げると決心した時のことを覚えています。私が16歳だった2000年、ヒトゲノムの配列がほぼ明らかになった年でした」と彼は言い、アレハンドロ・ベネガスという科学者が彼の高校を訪れ、ヒトゲノムについて講演したことを語った。
「講演の後、私はたくさん質問し、すばらしいことに彼はサンティアゴの研究室に私を招待してくれました。私は興奮しました」とムニタは話す。「あの経験が、私を科学の道へ誘うきっかけでした」
南米ではもっと科学が発展する必要がある、なぜなら地域の問題の多くを現地で解決する必要があるからだ、とムニタは言う。
「これはゲノミクスの新時代では特に重要です。ヒトや動植物の遺伝子データが何世代にもわたって蓄積されている今、このデータを地元で扱い、私たちの多様性の豊かさを活かす必要があります」
中南米のRNA研究
中南米でRNAを研究している別の人物に、メキシコの遺伝学者であるセリーン・リズベス・フェルナンデ・バルベルデがいる。現在オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学で上級講師を務める彼女は、メキシコ人における特定の人種の形質や糖尿病などの代謝異常に関連するノンコーディングRNAを研究している。
「私は遺伝子のオン/オフをする調節分子を研究しています。それらは長年、生物学的ノイズと考えられていましたが、現在は発達や病気など多くのプロセスにとって重要であることが明らかになっています」と彼女は語る。
フェルナンデ・バルベルデは、それらのスイッチがどのように作用するのかと、それが調節する人間や動植物のプロセスについて、またタンパク質と比べて非常に早く出現し変化することから、時間とともにどう変化するかについて特に興味を持っている。
「調節分子は、がんや糖尿病など多くの病気に関与しているため、薬物標的として重要である可能性があります」と彼女は話し、プロジェクトの背後にある動機は、メキシコ人のような複数の遺伝的起源(祖先)をもつ人々の研究が著しく遅れているためであることを付け加えた。
(forbes.com 原文)