ヘルスケア

2023.12.30 16:00

加齢による筋肉減少を食い止める方法 最新研究が示すこと

Getty Images

PDGF-Bが筋肉の成長を促し、筋力を増加させる

血小板由来成長因子サブユニットB(PDGF-B)は、さまざまな細胞で産生されるタンパク質だ。PDGF-Bは一般に、細胞遊走(細胞が元にあった場所から他の場所に移動すること)や分化、そしてさらに重要な細胞増殖などの細胞プロセスを制御するのに役立っている
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PDGF-Bは、より大きな血小板由来成長因子ファミリーの一つだ。PDGFは全部で4つあり、いずれも筋肉組織で分泌される。にもかかわらず、筋肉の健康においてPDGF-Bが果たす役割は、あまり理解されていない。

これを解明するため、研究チームはまず、PDGF-Bが筋芽細胞と筋管の両方から実際に生成されることを確認した。不思議なことに、こうしたマイオカインの産生は、筋収縮とは無関係のようだ。電気刺激による1時間の筋活動後も、そのレベルは変化しないことに研究チームは気づいた。このことは、このマイオカインが「構造的」に、つまり外部からの刺激なしに発現していることを示唆している。

研究チームは次に、PDGF-Bを筋芽細胞と筋管に直接添加した。筋芽細胞の場合、PDGF-Bを添加すると、細胞増殖が著しく促進された。また、添加処理した筋管は、未処理の筋管よりも速く成熟し、顕微鏡で見ると太さが増していることがわかった。
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PDGF-Bにさらされた結果、筋管は、筋収縮に不可欠なモータータンパク質であるミオシン重鎖(MHC)を、より多く発現するようになった。

筋管の直径とミオシン重鎖の発現量増加は、全体的な筋力アップに反映されていた。これは、電気刺激を用いて筋管収縮の力を測定する実験で確認された。

まとめ

加齢に伴う筋肉の減少は、高齢者にとって深刻な問題であり、生活の質の低下につながることも多い。現在のところ、この問題に対処する方法は、運動量を増やし、タンパク質の多い食事を摂るというライフスタイルの変化が主となっている。しかしそうした変化は、特に体の痛みや運動能力の低下を抱える人々にとっては不可能な場合もある。そこで、そもそも運動できるようにするための中間ステップが必要となる。

今回の研究結果は、その実現に近づくものだ。血小板由来成長因子サブユニットBが、筋肉の成長を促し、収縮力を高めるのに役立つことが示唆された。今後の研究では、こうした利点を、新しい治療法の開発にどのように活用できるかが明らかにされることを期待したい。

forbes.com 原文

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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