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2024.01.04 08:00

トランスクリエーション:AI時代に必要な哲学と共感のデザイン

morph transcreation 代表 小塚泰彦

哲学から入り、デザインを知った小塚氏はデザインの定義を以下のように語る。
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小塚:「これは私の勝手な解釈ですが、デザインDESIGNはDEとSIGNに分けることができます。接頭語のDEは Depart(出発する)やDerail(脱線する)などで使われている通り、切り離すという意味があります。もともとあるSIGN/サイン/記号から一旦切り離す作用がデザインという語に含まれていて、同時に、接頭語DEにはDecline(傾く)、Describe(描く)など下の方向に掘り下げるという意味もあります。

つまり、一旦切り離して、新しく解釈したものを掘り下げて、世界を描き出す。それが、私なりのデザインの定義です。世界をリフレーミングする哲学とデザインの統合された形がトランスクリエーションだと私は独自に考えています。

トランスクリエーションはもともと1960年代の米国で「広告コピーの翻訳」という領域で火が付いたものの、ずっと翻訳の業界用語で、現在でも翻訳業界以外ではほとんど知られていない言葉なんです。私はこの概念を社会に浸透させるだけでなく、「広告コピーの翻訳」という役割から大きく拡張させることで、これからの時代にあらゆる領域で重要な考え方になっていくだろうと思っています」
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生成AIによる言葉やビジュアルのクリエイティブが増えている中で、見た目のキャッチーさだけで注目を浴びている作品が多く生まれる現象に違和感を感じていた私としては、小塚氏の語る哲学の必要性、掘り下げるプロセスがとても重要に思える。今後はクリエイティブアウトプットされたものに、哲学があるのか、また、アウトプットに辿り着くまでに掘り下げたプロセスが感じられるのか?などにも注目されていくべきだと考える。

これからは、アート鑑賞に近い感覚で広告物やデザインされたものを見ていくべき時代になるのかもしれない。アートを鑑賞する際には、その作家のことや、時代背景、コンテキストを知った上で、作品の価値を得ることができる。今後はコピーライティングや広告デザインに対しても、アート鑑賞をするときのようなコンテキストの理解なども必要になってくるのかもしれない。

なぜならば、同様のアウトプットは生成AIでもできるからだ。同時に、小塚氏が語る「共感」が生まれるクリエイティブであるかどうかもコピーライティングや広告デザインを作る上で今後さらに重要になりそうである。


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文=西村真里子

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