リーダーシップ

2024.01.03 10:00

職場での争いごとを防ぐために、リーダーがとれる4つの対策

2. 安心できる環境を作る

職場での争いごとは、特にハイブリッドワークを実施しているチームでは問題化しやすい。意見の相違について対面で話し合う機会が限られている上に、デジタルチャネルで送られるメッセージは、誤解されるリスクが高くなるからだ。

ゆえにリーダーは、制裁を受けるのではないか、という懸念なしにチームメンバーが自分を表現できる、心理的安全性が確保できる環境を整えるために何ができるかを考える必要がある。そう指摘するのは、米ハルト・インターナショナル・ビジネススクールでリーダーシップと心理学を専門分野とするガイ・ルビッチ教授だ。

ルビッチ教授はリーダーに対して、あらゆるレベルのスタッフが、問題のある人間関係やリソース配置から生じる否定的感情、そしてどんなものであれ、信頼の欠如や孤立といった悩みについて話し合える機会を設けることを提案している。

「バーチャルな空間は、言い出しにくい話を避けがちな状況になっている可能性がある。したがってリーダーにとっては、チームメンバーが争いごとや対立、チーム内の力関係で特に問題となっている分野について、対面で率直に会話できる機会を設けることが非常に重要だ。争いごとが起きた時、リーダーやチームメンバーは、事態が悪化するのをただ傍観するのではなく、直接話し合うべきだ」

3. 個々のコミュニケーションスタイルを尊重する

グローバル人材開発企業Insights(インサイツ)で学習および人材部門の責任者を務めるアン・ブレナンは「コミュニケーション不全は、他の人も、自分と同じコミュニケーションスタイルに価値を置き、自分と同じように反応するはず、という誤った思い込みから生じることが多い」と指摘する。

「しかし、こうした思い込みが正しいことはほとんどない。人はみな、それぞれに違った個性を持っており、さまざまな状況に対して異なる反応を見せる。それぞれのコミュニケーションスタイルの違いを理解し、そうした差異を受け入れた上で一緒に働く方法を学べば、争いごとは解決する」

「異なるコミュニケーションスタイルを理解して行動するためには、自分と他の人の違いを最初から意識するよう習慣づけておくことが重要だ」とブレナンは語る。インサイツでは、企業組織がこうした意識を高められるよう支援する取り組みの一つとして、チームがそれぞれの対人コミュニケーションスタイルについて理解しあう場を設け、その際に、価値判断が入らない一種の言語として、さまざまな「色」を活用している。

「色のような共通言語を用いて個人の好みを理解することで、対人コミュニケーションが飛躍的に改善し、チームの実績が向上するとともに、チーム内のあらゆる争いごとが解決する実例を、われわれは見てきた」とブレナンは説明する。

「こうした意識が高まれば、すべてのレベルで人間関係がより強固になる。ハイブリッドワークに伴う物理的距離を克服し、言い出しにくい話題を、より前向きかつ効果的な形で提示する能力が、すべてのメンバーに備わる」
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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