職場での争いごとを防ぐために、リーダーがとれる4つの対策

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争いごとは可能ならば避けたいものだが、現実問題として、人生において避けられないものの一つでもある。

仕事の場でも、争いごとはつきものだ。同僚と意見が合わないことがあるのは当然だし、ある程度までなら、意見の相違があるのは健全なことだろう。他の人の見解は、状況に合わせて自分の意見を改善し、さまざまな意見を検討するきっかけとなる。また、集団内の同調圧力に負けて不合理な意思決定に至る「グループシンク(集団浅慮)」の罠に陥ることも避けられる。

だが、職場での争いごとが建設的な議論につながらず、悪い影響を及ぼすこともある。そうした状況で、いさかいを鎮静化するのはリーダーの役割だ。そのための具体的な対策を、以下に説明しよう。

1. 人を中心に据え、価値創出を優先する

書籍『Managing Conflict(対立の対処法)』の著者で、仲介サービスを提供するTCM Group(TCMグループ)で最高経営責任者(CEO)とチーフコンサルタントを務めるデービッド・リドルは、「組織に機能不全をもたらすような対立が起きるのは、状況が放置され、水面下でふつふつと不満がたまっている場合だ」と指摘する。

「そうした状況で建設的な議論にならない場合、状況がたちまちエスカレートして、全面的な対立になりかねない。そうなれば、対立の当事者だけでなく周囲にいるすべての人に、甚大な損害と精神的なしこりが残る」(リドル)

リドルによれば、建設的な職場文化を構築する上で鍵を握るのは、堅苦しく、法律に準じる形で構築されたこれまでのプロセス(慣例的に行われてきた規律懲戒や苦情処理などのやり方)を刷新することだ。その上で、より人間中心で、価値創出を優先するアプローチを取り入れるべきだという。

「すなわち、対話を中心に据え、対立する両者のあいだに立ち、コーチングや会話を円滑にする取り組みなど、協力や互いの心情への配慮を促すアプローチを取れば、争いごとや不満、懸念の解決につながるだろう」

配慮や共感を重んじるアプローチを取ることが、より強固な人間関係を築くのに役立つ、とリドルは言う。このアプローチには、生産性が向上し、従業員がベストを尽くすようになるメリットもあるという。「こうしたアプローチは、組織を高い実績を上げるものに変える原動力や要因であり、予兆だ」
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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