子どものマイコプラズマ肺炎、米国やデンマークでも増加

Shutterstock.com

子どものマイコプラズマ肺炎の罹患が米国のオハイオ州やマサチューセッツ州、中国、デンマークで増えている。ただ、互いに関連したものではなく、新たな病原体によるものでもないとみられている。

米疾病対策センター(CDC)によると、マイコプラズマ肺炎は「肺炎マイコプラズマ」という細菌によって引き起こされる感染症。この細菌に感染しても通常は軽い呼吸器疾患で済むが、場合によっては重篤な肺感染症を発症し、入院が必要になることもある。X線で検査すると炎症が起きている部分が白い影になって見えることから、英語では「white lung pneumonia(白い肺の肺炎)」とも呼ばれる。

オハイオ州ウォーレン郡の保健当局は11月30日、8月以来、3〜14歳の子ども少なくとも145人の肺炎の罹患が報告されていると発表した。これに先立ち、患者の検体から肺炎球菌やアデノウイルスと並んで肺炎マイコプラズマが検出されたことも明らかにしていた。

同当局は肺炎患者の増加について、「新種もしくは新型」の呼吸器疾患との関連はなく、子どもの通常の病気の急増だと説明している。また、州全体や全米、あるいは世界的なほかの何らかのアウトブレイク(疾病の集団発生)との関連もないとしている。

米国ではマサチューセッツ州でも、子どもの「歩く肺炎」(多くは肺炎マイコプラズマによって引き起こされる軽度の肺炎の俗称)やRSウイルス感染症など、呼吸器感染症の罹患が増えていると報じられている。

デンマークでも「エピデミック」に

マイコプラズマ肺炎は中国やデンマークでも広がっている。

デンマークの国立血清研究所(SSI)の研究グループは、マイコプラズマ肺炎の罹患がここへきて急拡大し、エピデミック(地域的な流行)に該当すると述べている。罹患が増え始めたのは夏だったが、過去5週間で一気に増加したという。11月第4週の報告例は540人を超え、10月中旬の3倍に達している。

世界保健機関(WHO)によると、中国の保健当局は11月の記者会見で、10月半ばから呼吸器疾患が増加していると報告した。増加は新型コロナウイルス感染症の制限措置が影響しているとし、症例は新型コロナウイルスやRSウイルス、インフルエンザウイルス、肺炎マイコプラズマといった既知の病原体によるものと説明した。

WHOは、中国での子どもの呼吸器疾患増加はインフルエンザなどの通常の流行シーズンとしては早いものの、新型コロナの制限措置の解除を考えれば予想できないことではないと述べ、中国側と同様の見解を示している。
次ページ > 症状や治療法は?

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事