WHOの声明によると、中国の国家衛生健康委員会は今月の記者会見で、呼吸器疾患の発生が増えていると報告されていることを明らかにしていた。WHOは新興感染症の監視プログラム「ProMED」やメディアで、中国北部の子どもの間で診断未確定の肺炎クラスターの発生が報告されているとも言及している。
中国当局は子どもの呼吸器疾患の増加について、インフルエンザウイルスや呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、新型コロナウイルス、小児がかかりやすい肺炎マイコプラズマなど、既知の病原体が原因との見方を示している。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、国家衛生健康委員会は23日、小児科病院が混雑している状況を「注視」しているとし、症状が比較的軽い場合は一般の病院を受診するよう勧告した。
WHOは中国に対して、クラスターに関する検査結果を含め「疫学情報や臨床情報」をさらに提供するよう求めている。
「ゼロコロナ」政策の反動か
中国当局は呼吸器疾患の最近の増加について、厳格な「ゼロコロナ」政策を解除した影響もあるとの見解も示している。中国は厳しい監視や都市封鎖などによって新型コロナやその他の肺疾患を抑制していたが、今年、3年ぶりに行動制限のない冬を迎えている。米紙ニューヨーク・タイムズは中国の保健当局者の話として、中国で呼吸器疾患の患者数は過去3年低く抑えられてきただけに、今冬の増加は伸びの大きさが目立つかたちになるかもしれないと伝えている。
子どもの肺炎などの増加については中国の国営メディアも報道しているが、大半の場合は軽症だとして国民に冷静な対応を呼びかけている。
WHOのデータによると、新型コロナによる中国の累計死者数は22日現在12万1798人となっている。
(forbes.com 原文)