中東からの石油の購入が減少すれば、中国の中東への投資は必然的に低迷し、縮小することもあり得る。中国が抱えつつある問題は、産油国との間のものだけではない。中国は近年、イスラエルのテクノロジー部門との貿易を拡大し、また投資も増やしてきた。だが、中国がイスラム組織ハマスは「テロリスト」であるとの認識を示すことを拒否したため、イスラエルへの影響力における優位性はここ数週間ですでに縮小し始めている。同時に、中国国内の財政問題により、中東を含む各国への投資は困難なものになっている。
中国の財源をさらに圧迫しているのが、中国の広域経済圏構想「一帯一路(BRI)」の問題だ。中国が支援を決めたインフラ整備などのプロジェクトの多くは、建設のための借金を返済するだけの十分なリターンを一帯一路参加国にもたらすことができなかった。あまりに多くの一帯一路参加国が困難な状況に直面したため、参加国は一帯一路を「債務のわな」と呼ぶようになった。
一帯一路参加国の借金返済が滞り、中国の貸し手は圧力を受けている。中国は一帯一路を縮小せざるを得なくなった。コンサルティング会社のスタティスタによると、中国の一帯一路プロジェクトの投資額は実際、最盛期の平均年1000億ドル(約14兆6720億円)超から半分近くまで急減。今年、一帯一路の投資額は底を打ったように見えるが、800億ドルと推定され、以前の水準には遠く及ばない。