筆者がこれまでも何度か書いてきたように、それは完全に予想できたことであり、多くの人がそう考えていた。そして今、そうした予想が正しかったことが明白になった。企業が続々と香港から撤退している。中国は敗者だ。
1997年に英国が植民地だった香港を中国に返還した際、中国政府は香港をそれまで通りに維持すると約束。中国の指導部は「一国二制度」を口にした。それから10年ほど経ったとき、中国政府は香港の人々と世界に対して約束していたことを反故にしようと強硬な動きに出た。香港市民が長い間享受してきた市民的自由を奪い始めたのだ。2019年には大規模な抗議デモが発生。中国政府はそれを力づくで鎮圧した。
香港のかつての特徴はいくらか残っている。中国本土の都市に比べれば、香港での金の出し入れはまだ簡単だ。それ以外では、香港の人々が仕事や日常生活において中国政府の干渉を受けないという保障は完全になくなった。中国に近い自由な都市という香港の地位は、中国の単なる延長部分に成り下がった。それにともない、外国人にとっても、本土に本社を置く中国企業にとっても、ビジネスをする場所として香港がかつて持っていた特別な魅力は失われた。
欧米や日本の企業は、中国政府が腹の中を見せた直後から香港を離れ始めた。香港の国勢調査統計局によると、外資企業が香港に置き続けている地域本部の数は、同局の公開データの直近期間である2019年から2022年にかけて約9%減少した。撤退が最も多かったのは米企業だったようだ。2022年までに、香港に地域本部を置く米企業はピーク時から約30%減少した。米国の経営者は、優秀な従業員に香港に移るよう説得するのに苦労していると報告している。
米企業だけではない。豪銀のウェストパック銀行とナショナルオーストラリア銀行がつい最近、香港から撤退する意向を表明した。聞くところによると、この2行は香港と中国の他の地域との間の資金の流れを促進するための抗議の後も香港に留まると約束していた。明らかに2行はもはや香港の価値を認めていない。