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クリエイターをどう育てる? 日本のエンタメビジネスの未来

(左から)渡辺裕介、千木良卓也、林士平

日本のエンタメ界は、転換点を迎えている。SNSの登場によって、音楽・イラスト・漫画といったコンテンツの発信方法も、その消費の仕方も変化した。

今の時代にヒットするエンタメコンテンツとは。そして、才能あるクリエイターが活躍できる場をどのようにつくっていくべきなのか。

歌い手・Adoが所属する事務所代表の千木良卓也(クラウドナイン代表取締役社長)、漫画『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』などの編集を務める林士平(ミックスグリーン代表取締役・少年ジャンプ+編集部員)、「おぱんちゅうさぎ」などのキャラクターや映画作品などを手がけるCHOCOLATE Inc.代表取締役の渡辺裕介の3人に語ってもらった。

ヒットはなぜ生まれた?

千木良卓也(以下、千木良):当時は何も分かりませんでしたが、後日談としてであればいくつかあります。メジャーデビュー曲『うっせぇわ』のリリース時期(2020年10月)はコロナ禍で、音楽の聞き方がストリーミングやYouTubeへと変わっていったタイミングだったこと。

そして、顔出しをしていない17歳の女の子が、ボカロ業界からデビューした、それも、『うっせぇわ』というキャッチーな曲で、というインパクトの多さも重なりました。音楽の認知の場がビジュアルを必要とするテレビから、必要ないストリーミングに移ったことも関係しているのかもしれません。

Ado、歌い手。2020 年にメジャーデビュー。22 年には映画『ONE PIECE FILM RED』にてウタの歌唱キャストを担当し、劇中歌の『新時代』がApple Music グローバルチャートで日本の楽曲初の1 位に。23 年10 月には配信シングル『クラクラ』をリリース。

これまでもボカロ業界から人気歌手は生まれていますが、メジャーデビューした途端にボカロから離れていく人も多かった。そんな中Adoは、ボカロP(ボーカロイドを使った作曲家)が作詞作曲した曲、絵師が描いたMVでデビューし、「ボカロが大好き」「自分は歌手ではなく“歌い手”」と言い切った。

尚且つデビュー曲のインストを公開していた事も相乗して、彼女に共感した有名な歌い手達が“歌ってみた”動画として『うっせぇわ』のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を大量に生み出してくれて、広く知られるきっかけになりました。決して計算していたわけでもなく、ただ好きなことを全力で行った彼女とそれに全力で寄り添ったスタッフ達がヒットの背景に繋がったのかと思います。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=平岩亨

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