なお、世界が気にする“NGライン”は流動的です。例えば『SPY×FAMILY』には架空の戦争が出てくるのですが、アニメ化の際に世界情勢を鑑みて原作から表現を変えなければならないこともありました。常に議論しながら作品をつくる必要があります。
『SPY×FAMILY』。2019年から「少年ジャンプ+」で連載中の、遠藤達哉によるスパイコメディ
千木良:アーティストやクリエイターには、職人タイプとインフルエンサータイプがいると思っています。インフルエンサータイプは、SNSでの楽曲の出し方や自分のプライベートの伝え方が上手く、音楽についてもしっかり語れる、とにかく自分の切り取り方や発信の仕方が上手い方。一方で職人は、そういうことは下手だけれど、作曲、ギター、歌などのひとつのことに対して脇目も振らずに没頭出来る方。
職人タイプは、ものすごく偏ったインプットをして、ものすごく偏ったアウトプットをする人が多いのですが、そのほうが独自性を出しやすい。AIとも同じ土俵にならないんですよね。私たちの仕事にはそのような職人も見つけ、育て、不得手な事を全て代わりに行うことも含まれるのですが、世の中にはその才能が見つかりにくいのでもっと職人タイプが世に出られるような場を作っていきたいです。