WOMEN

2023.11.25 11:30

発表!「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2023」個人受賞者&企業ランキング

撮影/小田駿一

最初のトークセッション「グローバル企業が取り組むD&Iと女性活躍支援」では、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)北東アジアエリアの執行役員、金瑛新(YongShin Kim)が登壇。
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マルチカテゴリーの消費財メーカーとしてグループ全体で約5万人の従業員を抱えるBATにとって、女性活躍とD&Iは「ビジネスに欠かせない要素」だという。同社は2025年までに女性管理職比率を45%、女性シニアリーダーシップ層比率を40%にするという目標を掲げており、すでに日本を含む北東アジアエリアでは女性シニアリーダーシップ層比率が40%に到達している。

「イノベーションを起こすためには、多様化する世界中の消費者の思考を理解することが欠かせない。そのため主に多様な人材の採用や能力開発、そして女性の離職率の軽減などに向けた取り組みを行ってきた」と金は語る。

「例えば産後の育児休暇ではフルタイムの賃金を全額支給したり、D&Iのeラーニング研修を実施ししたり、LGBTQの社員に話を聞く機会を設けたりしています」
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多様な働き方のロールモデルが増えることで、リーダーも多様化し、リーダーになりたいと思う社員も増える、と考えるからだ。

「社員一人ひとりが最大限に力を発揮できる環境をつくることに、引き続き挑戦していきたい」

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン執行役員で人事&インクルージョン・ディレクターのヨンシン・キン

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン執行役員で人事 カルチャー&インクルージョン担当の金瑛新。

続いて、もう一つのトークセッション「MAKE ACTION」は「誰もが能力を発揮できる社会のつくり方」とのテーマで、個人賞を受賞した東京工業大学学長の益一哉、アドバイザリーボードとして審査にあたった経営ストラテジストの坂之上洋子、同じく経済学者で東京大学教授の山口慎太郎の3人が登壇した。

労働経済学を専門とする山口は、日本社会の現状についてこう述べた。

「多様性はイノベーションの源泉でもあります。男性が多く、男性の率いる組織では考えが凝り固まってしまいます。海外に比べると、日本はかなり多様性の面で遅れている。日本は労働市場に女性は進出しているけれど、管理職になっていないし、十分な活用がされていない。逆に、伸び代はまだまだあると感じます」

東京工業大学で学長を務める益も同意する。

「海外の大学の学長や副学長など主要ポストとお会いすると女性であることも多い。ここも日本とは大きく違う。女性が大学教育を受ける枠をきちんと広げてアカデミックな場にも女性がポジショニングされていくべきだと強く感じました」

益は2022年、主要8部局の教授・准教授ポストで女性限定の公募、さらには入試改革において「女子枠」の導入を決定するなど、閉鎖的な日本のアカデミアに大きな変革を起こした。

女性活躍が進まなかった原因について、山口が「性別の役割分業意識が根強く残っている。でもこれって男性のことも逆の意味で縛り付けている。こうしたアンコンシャスバイアスを取っ払って男女問わずいろんな役割を果たして、それが素敵だ、かっこいいと思われる雰囲気にする必要がある」と語ると、益は現状と課題をこう説明した。

「男女ともに働きやすい制度は整ってきているとは感じる。しかし実際に使われるには、組織のトップのコミットメントが必要です。そしてそれを組織内外へ何度も発信すること」

そのうえで「カルチャーを変えるには、しつこく言い続けなければならない」と力説した。

一方、坂之上は「男性には、パートナーの女性がどのように社会で活躍できるか考えてもらいたい」と訴える。

「働く、社会の役に立つということは人生において大切なこと。いずれ子供も巣立っていく。どうしたら女性も自己実現をして充実した生き方ができるのか、本気で考えてもらいたい」

変わりゆく環境や社会に対し、男性・女性それぞれの立場からの意見が交わされ、山口はこう締めくくった。

「女性の働き方はここ20〜30年で大きく変わってきました。総合職でバリバリ働く女性、共働き夫婦が普通になりました。今度は男性も変わる番。男性も、男性であるが故の生きづらさを感じることもあったでしょうから、これからは誰もがいまよりハッピーに生きて働いていくために、D&Iが促進されていくことを願っています」

左から、ファシリテーターを務めたForbes JAPAN WEB編集長の谷本有香、東京工業大学学長の益一哉、経営ストラテジストの坂之上洋子、経済学者の山口慎太郎。

左から、ファシリテーターを務めたForbes JAPAN WEB編集長の谷本有香、東京工業大学学長の益一哉、経営ストラテジストの坂之上洋子、経済学者の山口慎太郎。

Forbes JAPANが「WOMEN AWARD」を開催するようになって8年あまり。この時間のなかでも、女性の働き方や制度、環境は著しく変化を遂げた。

「女性が当たり前に能力を発揮し、リーダーとして活躍できる社会にするために。変わらない日本を、企業から変えるために」

このテーマが実現し、「WOMEN」と銘打ったアワードを設ける必要がなくなる日が来ることを願って、Forbes JAPANはこれからも女性たちをエンパワメントし続けていく。

文=田野早希子 写真=藤井さおり

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