運用するT-72BAの多くを失ったとみられる第488連隊は、明らかに替わりの戦車を必要としていた。その代替戦車が新型のT-72B3やT-90でなかったことは、多くを物語っている。あてがわれたのはT-72Bだったようだ。ウラルバゴンザボドがT-72BAを生産するために一度解体し、改修した40年近く前の戦車だ。ロシアは2022年以前、数千両のT-72Bを保管していた。
T-72Bは少なくとも、もっと古いT-72AやT-72ウラルよりはましだ。砲塔の装甲が強化され、射撃管制が改善され、主砲の安定性も向上した。780馬力のディーゼルエンジンに代わって840馬力のディーゼルエンジンが搭載されている。
30 October 2023
Russian-occupied #Luhansk Oblast, #Ukraine
T-72B with anti-drone cage in operation with Russia's 488th Motorised Rifle Regiment, 144th Guards Motorised Rifle Division, 20th Guards Combined Arms Army, Western MD
The 488th MRR only operated T-72BA as MBTs in… pic.twitter.com/xAsxMElJdQ — Naalsio (@naalsio26) November 12, 2023
もちろん問題は、赤外線照準装置を持つ敵軍もスポットライトを見ることができ、T-72Bの位置を特定できることだ。
ウクライナ軍は運用するT-64やT-72に優れたパッシブ式の暗視装置を追加し、レオパルト2やチャレンジャー2、M1エイブラムスといった西側製の戦車も獲得するにつれて夜間作戦をより多く行うようになった。暗闇では、ウクライナ軍の戦車部隊はロシアの戦車部隊よりかなり優位だ。
ロシア軍がT-72Bを前線の連隊に配備すればするほど、夜の戦闘におけるウクライナ軍の優位性は高まる。ドイツやデンマーク、オランダが供与する1980年代に生産されたレオパルト1A5戦車を200両近く投入しても、ウクライナ軍は優位性を維持するはずだ。
レオパルト1A5はT-72Bに比べ装甲が薄く、105mmの主砲はT-72Bのものより小さい。だが、最新の射撃管制システムEMES-18と高性能のパッシブ式暗視装置のおかげで、レオパルト1A5はT-72Bよりも速く正確に撃つことができる。特に夜間においてはそうだ。
もちろん、ウクライナでは戦車同士が戦うことはほとんどない。ロシア軍のT-72Bが他に劣る戦車なのは、同じように古いウクライナ軍のレオパルト1A5に1対1の戦いで勝てないからではない。日の出から日没までの間しか役に立たないからだ。
だからといって、ロシア軍の第488連隊などが、T-72Bを最大限に活用しないわけではない。ウクライナ軍でさえ、T-72Bが戦線に大量に出現するようになってから、鹵獲した数十両のT-72Bを活用している。
(forbes.com 原文)