千曲川ワインバレーのテロワール
千曲川ワインバレーは全体的に日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きく、降水量が少なく、水捌けが良いのでワイン用ブドウ栽培に向いていると言われています。千曲川ワインバレーは上流の上田盆地と佐久盆地とその周辺(佐久市、小諸市、東御市、上田市)と下流の長野盆地とその周辺(長野市、須坂市、高山村、小布施町など)に分けて論じられることが多いです。前者の中でも東御市では「千曲川ワインアカデミー」が開講されているため、ワイナリー経営者を志す方、ワイン文化に貢献しようと意気込むさまざまな方たちが全国から集まっています。近年では、アンワイナリーのように小諸市の標高900m前後の冷涼な地域にブドウ畑を構える生産者たちが生み出すワインが好評です。千曲川ワインバレーの中で最も注目を浴びている地域といっても過言ではないと思います。
また、千曲川ワインバレーはボルドーのように右岸と左岸でテロワールが語られることもあります。この論点はまだ一般的には定着していないようですが、シャトーメルシャンでは北信地域のシャルドネを右岸と左岸に分けてワインを造ったりするなどの取り組みも行っています。日照量や降水量だけでなく、標高、土壌、畑の向き、斜度などの違いを知り、「そこから生み出されるワインとはどのような味わいなのか?」と想像してから味わうというのもワインの醍醐味の一つだと思います。右岸・左岸の特徴を活かしたワインがこれからもっと生み出されていくといいですね。
軽井沢アンワイナリーは、千曲川ワインバレーのワイナリーの中で最も上流に位置するワイナリーということになりますよね。軽井沢アンワイナリーを入口として、下流に向かって順々にワイナリーを巡るのはいかがでしょう。特にワインを学んでいる方はテロワールに関心がありますので、自分の五感をフル活用してそれらを確かめていくのは非常に面白いことだと思います。
軽井沢蒸留酒製造の小諸蒸留所は必見
ソムリエ・WE試験ではワイン以外のお酒も出題されます。軽井沢アンワイナリーをゲートウェイとして、ブルワリーやウイスキーの蒸留所を巡るのも更に試験に効果的といえます。北陸新幹線軽井沢駅から車で40分圏内に、40を超える酒蔵、ワイナリー、ブルワリー、ウイスキー蒸留所が点在していす。このあたり一帯は日本屈指の酒処なのですね。中でも2023年にオープンしたばかりの軽井沢蒸留酒製造の小諸蒸留所は、ぜひソムリエ試験を控えた方たちに訪れて欲しい場所の一つです。ウイスキーアカデミーも開催されていますし、フルコースで資格試験勉強を楽しめる場所となるでしょう。田口あきこさん プロフィール
レコール・デュ・ヴァン講師、出張ワイン講師、日本ワインなび編集長、日本ワイン検定出題作成委員、CWAC(千曲川ワインアカデミー倶楽部)首都圏広域イベント統括、JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆、ブライトコンサルティング株式会社取締役(ITコンサルティング)
WSET認定Level3、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定唎酒師、日本テキーラ協会認定テキーラマエストロ、千曲川ワインアカデミー修了、(問い合わせ:akiko.taguchi@japanwine-navi.com)
連載:『人生100年時代 豊かな生活をおくる次世代ライフスタイル学』
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