食&酒

2023.11.16 11:45

軽井沢富裕層が期待、初のワイナリー生産へ

一般的に、スパークリング・ワインに大切なポイントは口に含んだ時の爽快感と言われています。爽快感を出すための要素の中でも重要なのが「酸」です。内陸性の冷涼地で昼夜の寒暖差が激しいことから、凝縮した果実味に豊かな酸がたっぷりと蓄えられたブドウで造られていることが窺えます。同じく冷涼な気候を活かした軽井沢のピュアでフレッシュな高原野菜とのペアリングもいいですね。長野県には海がありませんが、北陸新幹線が福井まで延びることで、今後は北陸のシーフードが長野のワインと出合うことで、思いがけないマリアージュが生まれるかもしれません。軽井沢はもともと食文化の意識が高い土地ですので、ワインの発展と共に更に磨かれていくのでしょうね。

軽井沢アンワイナリーのテイスティングルームにて (左が社長の松村清美さん、右が田口あきこさん)

軽井沢アンワイナリーのテイスティングルームにて (左が社長の松村清美さん、右が田口あきこさん)

軽井沢アンワイナリーさんの泡は、いつも頑張っている女性の癒しのアイテムとして贈りたいなと思いました。ブラン・ド・ブランは花の蜜、ブラン・ド・ノワールは懐かしい木イチゴのフレーヴァーが印象深いです。そんな癒しの要素が疲れた心にじわじわと心に染みわたるでしょう。

ワインスクールの女性の受講生は、バリバリ仕事をして家事もしっかりこなしている方が多いです。彼女たちにそっと注いであげたいなと思いました。松村さんにこのお話をしたところ、なんと彼女も主にそういう女性に向けてこの泡を造っているとのことでした。エチケットには”Pour les femmes petillantes(キラキラ輝く、はつらつとした女性たちへ捧げたい)”というメッセージが刻まれています。

軽井沢では煌びやかなパーティにお呼ばれして、ちょっぴり背伸びして高価なシャンパーニュをお持ちになることも多いかと思います。しかし、「家族や気の置けないお友達と時間を過ごす時には、軽井沢の泡でほっと一息つく」「軽井沢の別荘に着いたら軽井沢の泡で乾杯する」、このような楽しみ方がトレンドになったら素敵だなと思います。

千曲川がもたらす自然の恵み

鈴木:千曲川ワインバレーは、最近新しいワイナリーが続々とオープンしてますが、今後の可能性についてどのようにお考えでしょうか。

田口:千曲川ワインバレーは、長野県の千曲川流域に広がるワイン産地です。長野市、高山村、須坂市、坂城町、小布施町、東御市、上田市、小諸市など多くの市町村が含まれています。今後は軽井沢町が加わることになります。

千曲川はフォッサマグナ(大きな溝、地質学的には東北日本と西南日本の境目となる地帯)を流れる河川でもあり、これが複雑な地形の原因になっているそうです。それ故、バラエティ豊かなワインが生み出されていることに繋がっています。千曲川流域の自然の美しさは、この大地を削りながら流れてゆく千曲川が造り上げたものだといえます。その中に数々のブドウ畑やワイナリーが点在し、その美しい自然の一部となっている、千曲川ワインバレーとはそういったエリアですね。
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文=鈴木幹一

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