ブレストのための思考法やライフハックは、今日の情報社会において古今東西に溢れている。そんなクリエイティブの技法が乱立する今の時代において、自分らしいアイデアを育み、生み続けるには何が必要なのだろうか?
これまで数多くのユニークな企画を世に出し続けてきたプランナー・クリエイティブディレクターの佐藤ねじさんに、筆者がその思考と発想の源を聞いた。
アイデアにとって幸せな“嫁ぎ先”
出村:ねじさんの企画は「小1起業家」「ボードゲームホテル」「佐久市リモート市役所」など、ネーミングを聞くだけで面白さが伝わってくるパンチラインが強烈で、同じクリエイターとしていつも感動と悔しさを感じています。そんなねじさんのプロジェクトデザインのコツについて今日は語っていきたいのですが、まず簡単にねじさんのバックボーンから教えてもらえますか?
左から:出村光世、佐藤ねじ。インタビューは下北沢のスタジオ「砂箱」にてPodcast収録と合わせて行われた。
佐藤:僕の肩書は、プランナー、デザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクターなど、プロジェクトによって柔軟に変えています。
企業やブランドを好きになってもらったり、知ってもらったりするためのPRやWEB制作を主にやってきたのですが、ここ最近は商品企画をしたり、お店をつくったり、子どもコンテンツをつくったりと幅広く手がけています。
元々はグラフィックに強いデザイン事務所にいました。デザイナーとして入りつつ、プランナーとしても仕事していて。途中からウェブデザインや実装も自分でやるようになりました。
でもやっているうちに、僕は一枚でビシッと画を決めるグラフィックデザインよりも、アイデアを盛り込んで“こざかしい”仕掛けをつくっていくほうが好きだなと気づいて。グラフィックデザインの領域だけだと、やりたいアイデアの幅とアウトプットの幅が合わなかった。
それからウェブもやりながら、アプリをつくったりインスタレーションをやったりしていたのですが、デジタルコンテンツだけでもまだアウトプットが狭い感じがして。なので今は商品やリアルな場所も企画の対象にしている感じですね。