マーケティング

2023.11.22 08:00

デジタルから子育てのアイデアまで。佐藤ねじの企画術

プランナー/クリエイティブディレクター・佐藤ねじ

出村:ねじさんの仕事を見ていると、デザインというものに対して「設計」みたいな意図を感じることが多いです。
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デザインって、言葉自体はとても広義じゃないですか。日本ではビジュアルのデザインを指すことが多いと思いますが、何かコトを起こすために、みんながその目的地に行き着けるために設計すること自体がデザインだと僕は思ってます。さっきの「こざかしさ」みたいなフレーズは僕からは言いにくいですけど、ゴールを計算して設計されてるという意味では腑に落ちるところもあります。

ところで、これが最初のブレイクスルーだったと思い出されるものってありますか?

佐藤:面白法人カヤックにいる時に体調を崩してしまって、1カ月くらい入院した時期がありました。その頃、実装するタイミングやアウトプットのアテがない個人的な企画のアイデアをたくさん溜め込んでいて。休養中に暇だったので、実現度や優先度の高いものを整理していったんですよね。
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「いつ死んじゃうか分かんないしな」って気持ちがあって、出し惜しみしてもしょうがないし、退院したらとっとと出していこうと。

それが2012年くらいで、最初につくったのが「すごいWEB」っていうウェブサイトです。本当にしょうもない、何の中身もないサイトなんですが…。それがSNSでバズったのがブレイクスルーと言えるかもしれないです。

出村:この「すごいWEB」は、いわゆるウェブ用語でいうワイヤーフレームに近いというか。「超すごくて、半端なくゴイスーな写真」をこの辺に入れとけ、みたいな指示だけが書いてあるという。
WEB制作における“未完成の美”を表現した「すごいWEB」。公開当時、制作会社の人々を中心にSNSで大きなバズを生み拡散された。

佐藤:本当に誰でも簡単にできちゃうアイデア。でも、実際にそれをつくって世に出すことに大きな壁があるんですよね。僕も一時期、仕事に専念して自分の作品をつくらなくなった時期があって。それがこの「すごいWEB」を皮切りにまたつくるようになって、仕事と個人でアウトプットが2倍に増えました。

僕は多作であること、打席に多く立つことを良しとしているところがあって。頭の中にあるものを形にして、 反応が出て、その時にやっと作品が完成する。そのサイクルを始めたのが2012年頃からなので、一番大きなターニングポイントかもしれないです。
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文=出村光世

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