微生物からAI、宇宙まで 日本発「ネイチャーポジティブ」に資する50社

東邦レオ

代表者|吉川 稔 設立|1965年

緑地空間設計のグリーンインフラ技術
グリーンインフラ事業のパイオニア。35年以上にわたって植物が健全に生育するための都市緑化技術を蓄積。屋上緑化や壁面緑化、街路樹の健康診断など、都市の緑づくりを支援する。分譲マンションや団地分野では、管理組合との積極的な対話や長期視点の管理手法を重視し、緑を通じたライフスタイルやコミュニティづくりにも取り組む。

BIOTA

代表者|伊藤光平 設立|2019年

微生物多様性で都市のレジリエンスを向上
最先端のバイオインフォマティクス技術と独自のデータベース・評価指標を駆使して、生活空間の「微生物多様性」を高めることで都市のレジリエンスを強め、持続性のある暮らしをつくるスタートアップ。例えば、生活空間に有用な微生物を意図的に増やすことで、疾患予防などの健康効果が期待されるという。「除菌から『加菌』へ」がコンセプト。

サグリ

代表者|坪井俊輔 設立|2018年

衛星データとAIで農業を最適化
衛星データとAI技術・区画形成技術を組み合わせたデータプラットフォーム事業を展開。行政が目視で確認していた農地の状態をデジタル地図上で閲覧できるサービス「アクタバ」、農業生産者が管理する農地を登録し、生育状況や土壌解析をスムーズに行えるアプリ「サグリ」、農地の作付け状況を簡単に把握・記録できる「デタバ」を提供。

リバネス

代表者|丸 幸弘 設立|2002年

人と森林の新しいあり方を開発
2023年3月に、森林の生物多様性を守り、人が共生したかたちで資源を有効に活用しながら持続可能な営みをつくるための「LVNS Forest Project」を開始。12社の日本企業と連携して、新たな植林体系を構築するためのディープテックの開発や、森林から有価物を生み出すための研究開発、教育活動などを推進していく。

石坂産業

代表者|石坂典子 設立|1967年

産廃物の減量化・再資源化率98%
産業廃棄物処理のイメージを覆そうとしている変革者。「脱・産廃屋」を掲げ、地域の景観に配慮した施設への転換、社員の意識改革などに取り組む。焼却処理を廃止し、廃棄物混じりの土を改良土にする資源化技術など、徹底した分別と独自技術によって産廃物の減量化・再資源化率は98%を実現。地元の埼玉県三芳町では里山保全活動も推進。

サンリット・シードリングス

代表者|東樹宏和 設立|2020年

土壌の「コア微生物」を迅速・低コストに特定
京都大学生態学研究センター准教授の東樹宏和が中心となって設立。土壌中の生態系を大規模に分析し、DNA解析や機械学習を用いて、中核となる微生物を低コストで迅速に特定する技術を保有。コア微生物を効率的に増やすことで土壌の健全性を高め、農薬や肥料を抑えた持続可能な方法で農業の生産性向上につなげる事業を展開する。

いきもの共生事業推進協議会(ABINC)

代表者|森本幸裕 設立|2013年

ネイチャーポジティブの事業化を推進
ネイチャーポジティブの実現に向けて、生き物と人が共生できる仕組みを創造し、科学的・技術的に検証し、事業化を推進することを目的として設立された一般社団法人。緑地評価・認証およびエンジニアなどへの緑化設計実務の教育訓練などを通じて、都市の生物多様性回復において国内で大きな成果を出している。

Cultivera

代表者|豊永翔平 設立|2016年

湿度で根を育てる節水効果大の栽培技術
植物生理学に基づいた特許栽培技術「Moisculture」を保有。特殊なファイバー積層で形成した空間を気化水分(湿度)で満たすことで、効率よく水分や栄養を吸収する微細な根を発生・活性させ、植物の生育を促進させる。従来の栽培法と比べて水の消費量を約1/10に低減できるほか、土壌の汚染を抑え、持続可能な栽培に寄与する。

SynecO

代表者|舩橋真俊 設立|2021年

植物本来の特性を生かした「協生農法」
ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャーの舩橋真俊が開始した「協生農法」の普及を行う。多種多様な植物を混生・密生させることで、土地を耕さず、肥料や農薬も一切使わずに、植物本来の特性を生かして生態系を構築し、土壌の機能を回復させる農法。日本、サブサハラアフリカで実証実験を行っている。

Dari K

代表者|中島英樹 設立|2011年

アグロフォレストリーで共存共栄
サプライチェーンを一気通貫したチョコレートの製造販売を行う。自社農園ではなく契約農家制にこだわり、カカオ生産地のインドネシアでは、アグロフォレストリー農法(混植)によって生態系へのネガティブインパクトを抑えつつ、約500軒の契約農家に適切な利益配分を行っている。2022年1月にロッテに全株式譲渡し、同社の子会社となった。
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文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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