微生物からAI、宇宙まで 日本発「ネイチャーポジティブ」に資する50社

インバックス

代表者|秋山祥克 設立|2000年

現地土砂活用の地産地消型ダム
埼玉県の土木設計会社。工事で発生する建設残土や、台風・豪雨・地震などの災害で発生した土砂を高強度化し、地盤安定化や再泥化防止ができる土木資源に変える「砂防ソイルセメント」技術を開発。コンクリートでなく、現地の土砂の使用によって環境負荷やコストを低減する。全国600カ所以上の砂防ダムの材料として提供した実績をもつ。

Green Earth Institute

代表者|伊原智人 設立|2011年

バイオリファイナリーの先駆者
「コリネ菌」という微生物を使った革新的技術をもつ。従来の発酵では食糧と競合するバイオマスを使ってきたが、同社では茎や葉、木などの非可食の原料をもとに、バイオ燃料やグリーン化学品を製造、事業化に成功した。非可食バイオマスを原料として燃料や化学品を製造する新産業「バイオリファイナリー」の先駆者として注目されている。

Symbiobe

代表者|後 圭介 設立|2021年

CO2や窒素を原料に有用物質を生産
光エネルギーを受けるとCO2や空気中の窒素を固定する性質をもつ「紅色光合成細菌」という海洋微生物を培養する技術を保有。これをもとに、工場や発電所から排出されるCO2を固定化する事業や、生分解性・海洋分解性のプラスティック、農業向けの窒素肥料、水産養殖業向けの飼料などを生産している。

KAPOK JAPAN

代表者|深井喜翔 設立|2020年

未利用の天然繊維でつくるダウン
カポックという東南アジアに自生する木の実から取り出した天然繊維を主な素材として、ダウンなどの衣類ブランド「KAPOK KNOT」を展開。カポック繊維はコットンの1/8の軽さで、木そのものを使用しないので森林伐採の必要もない。栽培に農薬や化学肥料も不要だ。需要が増えれば、東南アジアでの雇用創出や森林保全にもつながる。

アグロデザイン・スタジオ

代表者|西ヶ谷有輝 設立|2018年

環境汚染を減らす分子標的農薬
無農薬有機栽培は収穫量が低下するという課題に着目し、「撒くと環境汚染が減り作物の成長がよくなる硝化抑制剤」「特定の害虫を選択的に退治する殺虫剤」など、従来品を代替する農薬を開発する。虫・雑草・病原菌などの防除対象生物に特有のタンパク質を薬剤標的とした「分子標的農薬」というコンセプトで毒性リスクを低減するという。

DAIZ

代表者|井出 剛 設立|2015年

発芽大豆由来の植物肉
独自技術による大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発する熊本県のベンチャー。搾油後の油かす(脱脂大豆)を原料にした従来の植物肉と異なり、発芽した大豆などを丸ごと使用するため、うま味や栄養値、機能性に優れる。日清食品ホールディングスなど複数の食品大手と資本業務提携。2023年には植物性タンパク質由来の液卵も開発。

PJP Eye

代表者|仁科浩明 設立|2017年

植物由来のカーボンバッテリー
植物由来の炭素を活用したバッテリーを開発する福岡県のスタートアップ。レアメタルを必要としないカーボンバッテリーのため、掘削にかかる環境負荷をかけず、CO2削減にも貢献。熱に強く、劣化しづらいという特徴を有し、従来のリチウムイオンバッテリーに置き換わる可能性を秘める。電動アシスト自転車やドローンで実用化を進めている。

インテグリカルチャー

代表者|羽生雄毅 設立|2015年

細胞農業で人工培養肉を実用化
汎用細胞培養技術「CulNet system」をコアに、安価で高品質な培養人工肉の実用化と環境負荷の低減を目指す細胞農業ベンチャー。2022年10月には、すべて食品原料からなる独自開発の基礎培地「I-MEM」を世界で受注開始。培養フォアグラはシンガポールで販売が認められており、並行し国内初の培養肉発売も目指す。

グリーンカルチャー

代表者|金田郷史 設立|2011年

おいしさが売りの植物肉
もともとはプラントベース(植物由来)食品の通販事業を展開していたが、2021年に食品開発のノウハウを生かして植物肉「Green Meat」を開発。動物性原料は不使用で大豆やエンドウの植物性タンパクを原料としており、肉に近い食感やおいしさにこだわりをもつ。独自の研究開発データベースを活用し、顧客の要望にあった植物肉を製造できる。

amu

代表者|加藤広大 設立|2023年

気仙沼発、廃漁網の再資源化
廃漁網のアップサイクルを目指す宮城発ベンチャー。年間800万tが流出している海洋プラスティックごみのうち、約40%は漁網などの漁具といわれている。流出した漁具が海洋生物に絡まり命を落とす「ゴーストネット」も深刻な課題。同社は漁具の回収システムを構築し、廃漁網をナイロン布の原料に再資源化する取り組みを進めている。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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