カルチャー

2023.11.26 13:30

地域で、世界で、活躍するカルチャープレナーたち【後編】

「木を飲み、草を食す」新体験を提供 知られざる日本の里山資源を食卓へ

古谷知華、木本梨絵|日本草木研究所 代表取締役

発起人の古谷は、大手企業勤務の傍ら、幼少期より培った調香やハーブ・スパイスへの知識を生かし商品開発も行っていた。あるとき、国産の素材がほとんど流通していないことに気が付き、自ら草木採取を開始。2021年に同い年のクリエイティブデザイナーである木本を誘い、全国の里山に眠る可食植物の研究機関「日本草木研究所」を設立した。これまでに国産植物でつくるシロップや塩、酒、和菓子などを開発してきた。
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一貫した「原材料は国産素材100%」のこだわりを支えるのが、全国に点在する「相棒山」の協力だ。商品に用いる草木のなかには、1年のうちわずか数週間しか収穫できない希少なものや、扱いを間違うと味を損ねる繊細なものも多い。そこで、草木を熟知した山主に協力を依頼。旬の情報や独自の収穫マニュアルを提供してくれるなど、まさに“相棒”のように心強い存在だ。古谷たちは、今まで買手のいなかった里山の素材に独自の価格付けを行い、彼らから買い取る仕組みを作った。

「設立当初は研究・開拓・周知が目的でしたが、多くの林業従事者の方と連携し事業として成立させることで、日本の草木で社会的なインパクトを与えられるのではと思い始めたんです」(古谷)

廃棄される間伐材を用いた商品など、サステナブル、フェアトレード、ガストロノミーの観点で満足のゆく商品は評判を呼び、創業から2年足らずで売り上げは4倍近く成長。国外への輸出も叶え、確かな需要の拡大を実感している。現在は日常使いできるカレー粉を開発中だ。

「国産素材をピュアに使用した完全なジャパニーズブランドは意外と少ない。いちデザイナーとしてその可能性に期待しています」(木本)
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ひっそりと日本の山々に根付く植物が、世界中の食卓に並ぶ日常も遠くはない。

未来の職人たちに貢献したい 伝統技法を生かした商品を世界へ

小山ティナ|Pieces of Japan 代表取締役
photo:Sonny Zehder

photo:Sonny Zehder

スイス生まれの小山は、美大でデジタルデザインを学び、国内外の企業でウェブ制作やアプリ開発に携わったのち、米Twitter(現:X)社でデザイナーとして勤務。2020年に京都へ移住し、元共同代表の塚本はなとPieces of Japanを設立する。

日本各地の伝統工芸品に着目し、次世代の職人に貢献することを目指してライフスタイルブランド「POJ Studio」を立ち上げた。伝統技法を生かしてつくるインテリアアイテムは、のべ160以上の国へ輸出されている。22年には、金継ぎの技術や自社商品を体験できる場として京都に初の実店舗をオープンした。

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文=眞板響子、督 あかり

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