カルチャー

2023.11.26 13:30

地域で、世界で、活躍するカルチャープレナーたち【後編】

日本中を盛り上げる!「お祭り」サポートで社会課題を解決

加藤優子|オマツリジャパン 代表取締役

震災直後の青森ねぶた祭で「祭りは人間の元気の源」であると気がつき、武蔵野美術大学在学中に地元の祭りを支援するサークルを立ち上げる。卒業後も食品メーカーに勤務する傍らで活動を拡大し、2015年にオマツリジャパンとして法人化。

「祭りで日本を盛り上げる」をミッションに掲げ、全国に約30万件あるとされる祭りの情報を発信するウェブサイト運営のほか、企業と祭り主催者の懸け橋となる取り組みや、祭りを活用した地域ブランディングなどで、人手・資金・PRの課題を抱える各地の祭りを多面的に支援し、全国の地域活性化を目指している。


「世界中にあなたの家を」新たな暮らし方の概念を提案する

濱渦伸次|NOT A HOTEL 代表取締役

2007年にアパレルのECサイト制作を担うアラタナを創業。15年に同社をスタートトゥデイ(現:ZOZO)へ売却してグループに参画し、グループ会社取締役を経て、20年に不動産×テクノロジー企業であるNOT A HOTELを設立。

ユーザーが購入した物件を「自宅」「別荘」「ホテル」としてアプリ上で自由に用途を切り替え、相互に利用したり貸し出したりすることができるプラットフォームサービスを提供している。高額不動産をオンライン販売する大胆な手法が注目され、物件の販売開始初日から15億円、初年度に70億円の販売実績を残した。

デジタル世界で表現する「もうひとりの自分」“神様”が集う新時代のプラットフォームを形成する

大湯俊介|AnotherBall 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、孫泰蔵が設けたスタートアップ企業支援プロジェクトの一期生に選出された。そこで得た資金を元手に、1社目となるコネヒトを創業。小さな雑居ビルの一室を拠点に2年間ほぼ無休で働いたが、最初に開発したクリエイター支援アプリでの挑戦は惨敗だった。次にリリースした妊娠・出産・子育ての情報サイト「ママリ」で順調に業績を伸ばし、2019年にKDDIへのM&Aを成功させる。さて、と次の事業を構想した際に、クリエイター愛が再燃した。

学生のころから漫画やアニメが大好きな“オタク”だった。青春を共にした初音ミク。留学先でも会話が弾んだドラゴンボール。エンタメは国境を越えられる。大湯にとってクリエイターは皆“神様”だ。

22年にAnotherBallを創業。主とするVTuberプロジェクト「IZUMO」の由来は、八百万の神々が集う出雲大社だ。アーティストを管理して厳選したコンテンツを発表するのではなく、世界中の神々によって面白いコンテンツが沸き上がるフィールドづくりを目指している。その第一歩として、シンボルキャラクターであるAilis(アイリス)を営利・非営利を問わず無料で公開するという破格のサービスを実践中だ。

世界中でさらなるファンクリエイション文化の拡大を予想する大湯は、起業と同時にシンガポールへと居を移した。「これまで以上にスピード感のあるビジネス展開を叶えるためには、『成功してから世界進出』ではなく、初めから海外に身を置いて闘うべきだと考えました。GO GLOBALではなくBE GLOBALでなくてはと思ったんです。日本が誇る文化で世界中が熱狂する事業をつくっていきたい」

すでに国内外の著名投資家によるエンジェルラウンドで3億円の資金調達を達成。今後の展開へ、期待は高まるばかりだ。
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文=眞板響子、督 あかり

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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