だが10日の戦いでは、ロシア軍の火力は効果がなかった。ウクライナ軍の旅団は数カ月、いや数年もかけて防御を固めてきたのだ。同軍参謀本部は11日、「防衛隊は勇敢にも戦線を維持している」と戦況を報告。「アウジーイウカ近郊で敵の攻撃を10回退け、ステポべの東とシェベルネの南東でも8回敵を撃退した」と述べた。
徹底的な監視が、防衛の要となった。アウジーイウカで領土軍に代わってドローンを運用している第129部隊は、連続20時間ドローンを飛ばし続け、ロシア軍の攻撃部隊全体の位置を捉え、「敵を1人残らず発見した」と主張している。
ウクライナに展開しているロシア軍が大きな予備軍を残しているかどうかについては、さかんに議論されている。ここで言う予備軍とは、ほとんどの兵力と車両を保持し、数カ月に及ぶ絶え間ない戦闘で疲弊していない未投入の部隊のことだ。
ロシア軍がまだ多くの予備兵力を保有しているとしても、少なくともアウジーイウカでの攻撃の失敗で多くの死傷者が出たことで、立て直しのために予備兵の一部を動員せざるを得ないだろう。
だが、ウクライナ側が勝利を宣言するのはあまりにも時期尚早だ。ロシア軍の狙いはどうやら、アウジーイウカの市街地を攻撃することなく町を包囲することにあるようだ。周辺を抑えれば、ロシア軍はウクライナ軍への補給を断つことができるかもしれない。
ロシア軍は部隊を再編成して再び挑むかもしれない。ロシア軍が2度目の攻撃のチャンスを得れば、アウジーイウカ周辺の野原に注目が集まる。「状況は非常に深刻だ」とウクライナ人ジャーナリスト、ユーリイ・ブトゥソフは警告した。
(forbes.com 原文)