欧州

2023.10.11 10:00

ウクライナのストライカー装甲車、1973年の戦術でロシアのミサイルかわす

遠藤宗生
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米国製のストライカー装甲車(Shutterstock.com)

1973年の第4次中東戦争(ヨムキプル戦争)で、エジプト軍がソビエト連邦製の対戦車ミサイル「AT-3サガー」(9M14マリュートカ)を用いてイスラエル軍に壊滅的な打撃を与えたとき、この兵器はまだかなり新しく、西側諸国ではあまり知られていなかった。

重さ約12kgの有線誘導式ミサイルは、数千m離れた場所からイスラエル軍の戦車、数百両を撃破。米軍は対抗策を編み出そうと奔走した。そして50年後の今、ウクライナ軍はサガーより重量があり有効射程も大きいロシアの対戦車誘導ミサイル(ATGM)に対し、この対抗策を活用している。

米国製のストライカー装甲車を駆るウクライナ軍の兵士たちは、ロシア軍のATGMを非常にうまく回避できているようだ。それにはもっともな理由がある。米軍の古典的な「対サガー訓練」は、高速で機動性に優れ、全方位光学系を備えた車両で最も効果を発揮する。重量18トン、11人乗りのストライカーは、これらの条件をすべて満たしている。

サガーは、ミサイル本体から長く糸のように伸びた導線を介してオペレーターが誘導信号を伝え、射出後のミサイルを制御する。オペレーターは標的の動きを監視し、リアルタイムで慎重にミサイルを誘導する。この誘導方法は、妨害にも回避にも対応できる。

米陸軍の対サガー訓練が制式採用されることはなかったが、実践マニュアルではミサイル回避技術として、車両の乗員に対しミサイル発射時の閃光(せんこう)に警戒し、確認し次第「不規則かつジグザグな軌道」で移動して、可能な限り素早く物陰に隠れるよう推奨している。その狙いは、ミサイルのオペレーターが反応するより速くランダムに動くことだった。

50年後のロシアの対戦車ミサイルは、重量約15kgのコンクールスや約29kgのコルネットなど、より大きな射程を有し、指令誘導ではなくレーザー誘導式のものもある。しかし、対サガー訓練は今なお場合によって有効であり、特にストライカーのような機動性に優れた車両では効果がある。350馬力のディーゼルエンジンを搭載した8輪駆動のこの歩兵戦闘車(IFV)は、地形が良ければ時速約97kmまで加速可能だ。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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