宇宙

2023.10.10

オリオン大星雲の「爆発の指」や浮遊天体 ウェッブ望遠鏡が撮影

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの長波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO)https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/igo/

オリオン大星雲(M42)は、肉眼でも見れる天体の中で特に美しいものの一つだが、これをかつてない高画質で捉えた画像が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって撮影されている。

301メガピクセル(2万1000×1万4351ピクセル)という驚異の高解像度画像は、オリオン大星雲の中心部を捉えたもので、明るく光る「爆発の指」も写っている。これは、500年以上前に衝突した2つの大質量星の残骸と考えられている。

惑星質量の自由浮遊天体

この画像からは、オリオン大星雲に宇宙空間を自由に漂う惑星サイズの天体(惑星質量天体)が多数存在することも明らかになった。欧州宇宙機関(ESA)によると、これらの天体の大きさは、質量が木星の約13倍から、木星より小さい土星の2倍ほどまでと幅があるようだ。

英BBCによると、さらにこの中から、2個ずつのペアとなって宇宙空間を自由に浮遊する木星サイズの天体が約40組見つかり、「Jupiter Mass Binary Object(木星質量二重天体)」と名付けられた。これらの天体は、恒星の周囲で形成された後、星間空間にはじき出されたと考えられる。

オリオン大星雲とは

冬に見頃を迎えるオリオン大星雲は、星空観測の初心者にうってつけの天体だ。有名なオリオン座の三つ星(オリオンのベルト)にぶら下がる形で、明るくぼやけて光る姿が見える。太陽系から約1300光年の距離にある、拡散されたガスと塵(ちり)の雲だ。

オリオン大星雲は、宇宙における地球の近傍にある星形成領域で、現在も星が誕生している。年齢はわずか100万年(宇宙の歴史ではほんの一瞬だ)で、内部には大小さまざまな星が存在している。


ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの短波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの短波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO

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翻訳=河原稔・編集=遠藤宗生

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