宇宙

2023.10.10 14:30

オリオン大星雲の「爆発の指」や浮遊天体 ウェッブ望遠鏡が撮影

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの長波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の中心部とトラペジウム星団(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO)https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/igo/


どうやって撮影されたのか

ESAのWebアプリ「ESASky」で公開されているこの画像は、ウェッブ望遠鏡に搭載のNIRCam(近赤外線カメラ)を使って作成された過去最大級の合成画像だ。
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ウェッブ望遠鏡がM42を撮影するのはこれが初めてではないが、今回の画像は、これまでのものと比べてはるかに広視野角で、星雲の中心部とトラペジウム星団が写っている。

NIRCamは、人の目には見えない赤外線で天体を撮影するため、観測データはフィルターを使って人の目に見える可視光に変換されている。

赤外線で見たオリオン大星雲

オリオン大星雲の画像には、短波長域の赤外光を捉えた画像と、長波長域の赤外光を捉えた画像がある。それぞれの画像は、電離ガス、炭化水素、分子ガス、塵などから反射されたさまざまな波長の電磁波や、散乱された星の光などを示している。どちらの画像にも見られるのは、多数の星々と、紫色や緑色、赤色の星雲だ。星雲のガスと塵は、星を形成する材料になる。

どちらも301メガピクセルのフル解像度の画像は、下のリンクからダウンロードできる。
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NIRCamの短波長域チャンネルで捉えたオリオン大星雲
NIRCamの長波長域チャンネルで捉えたオリオン大星雲

中央のスライダーを左右に動かして2枚の画像の違いを簡単に確認できるツールも公開されている。


ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの短波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の一部の拡大画像。星雲の背後にある分子雲の中で起きた爆発で生じた高速のガス噴流が明るく光る指のように伸びている(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラNIRCamの短波長域チャンネルで捉えた、オリオン大星雲の一部の拡大画像。星雲の背後にある分子雲の中で起きた爆発で生じた高速のガス噴流が明るく光る指のように伸びている(NASA, ESA, CSA / Science leads and image processing: M. McCaughrean, S. Pearson, CC BY-SA 3.0 IGO

「爆発の指」とは何か

短波長画像の最も色鮮やかな部分をクローズアップすると、赤色の「爆発の指」が、はっきりと見えるようになる。これらは爆発によって放出されたガスのジェット(噴流)だ。爆発は、星雲の後方にある分子雲(宇宙空間にあるガスと塵の濃密な雲)の中で、約500~1000年前に発生したと推定される。

この水素ガスのジェットは、爆発で生じた莫大なエネルギーによって赤く光っている。爆発を引き起こしたのは、巨大な若い恒星同士の衝突と考えられる。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔・編集=遠藤宗生

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