どうやって撮影されたのか
ESAのWebアプリ「ESASky」で公開されているこの画像は、ウェッブ望遠鏡に搭載のNIRCam(近赤外線カメラ)を使って作成された過去最大級の合成画像だ。ウェッブ望遠鏡がM42を撮影するのはこれが初めてではないが、今回の画像は、これまでのものと比べてはるかに広視野角で、星雲の中心部とトラペジウム星団が写っている。
NIRCamは、人の目には見えない赤外線で天体を撮影するため、観測データはフィルターを使って人の目に見える可視光に変換されている。
赤外線で見たオリオン大星雲
オリオン大星雲の画像には、短波長域の赤外光を捉えた画像と、長波長域の赤外光を捉えた画像がある。それぞれの画像は、電離ガス、炭化水素、分子ガス、塵などから反射されたさまざまな波長の電磁波や、散乱された星の光などを示している。どちらの画像にも見られるのは、多数の星々と、紫色や緑色、赤色の星雲だ。星雲のガスと塵は、星を形成する材料になる。どちらも301メガピクセルのフル解像度の画像は、下のリンクからダウンロードできる。
NIRCamの短波長域チャンネルで捉えたオリオン大星雲
NIRCamの長波長域チャンネルで捉えたオリオン大星雲
中央のスライダーを左右に動かして2枚の画像の違いを簡単に確認できるツールも公開されている。
「爆発の指」とは何か
短波長画像の最も色鮮やかな部分をクローズアップすると、赤色の「爆発の指」が、はっきりと見えるようになる。これらは爆発によって放出されたガスのジェット(噴流)だ。爆発は、星雲の後方にある分子雲(宇宙空間にあるガスと塵の濃密な雲)の中で、約500~1000年前に発生したと推定される。この水素ガスのジェットは、爆発で生じた莫大なエネルギーによって赤く光っている。爆発を引き起こしたのは、巨大な若い恒星同士の衝突と考えられる。
(forbes.com 原文)