そして同社は企業内大学をつくり、従業員の60%をリスキリング。結果、自社工場のDX化に成功し、今では製造業向けのDXコンサルティングサービスを立ち上げ、その売り上げは全社の30%に上るという。
「現在、僕は地方自治体と複数の取り組みを行っていますが、優秀でチャンスがある経営者をとにかく海外の展示会などに連れ出すことを勧めています。同業界の海外企業が今、どんなことをやっているのか、ベンチマークを立てれば、自社との差分が見えてきます。そうすると、経営者はきっと動けるはずなんですよね」(後藤氏)
5.元従業員とアライアンスを組めるか
「肉を切らせて骨を絶つ」という考え方も、経営者にまた求められるものだと後藤氏。リスキリングに消極的な経営者の中には、その理由として従業員が辞めてしまうことをあげる人が珍しくないという。「僕はいつも、リスキリングをすると辞める従業員は、リスキリングをしなくても辞めるはずだとお伝えしています。若い人材は、自分を成長させてくれる会社を選ぶ傾向があります。彼らにリスキリングの機会を提供しないということは、成長の機会を与えないことと同義です」(後藤氏)
リスキリングを行った結果、従業員が新たにやりたいことを見つけて、辞めていってしまうことはある。しかし、それでもリスキリングの機会を提供し続けていると、そこに成長機会を見出し、優秀な人材が外から入ってくるようになる。すると、いわゆる正の人材の流動化が起きる。そして、リクルートと「元リク」と言われる同社のアルムナイのように、従業員が企業を卒業した後も、企業と従業員がともに成長し、ビジネスができるような関係ができ上がっていく。