欧州

2023.09.24 09:00

ウクライナ軍、旧ソ連装備をポーランド製と交換 東部部隊を増強

だがそのためには、装甲を減らさなければいけなかった。ウクライナでいま繰り広げられているような大規模な戦争では、まともな軍隊なら浮力より装甲を選ぶことはほぼ間違いない。実際、製造元のロソマク社は防御力を回復させる追加の装甲キットを開発したが、それは水中移動能力を犠牲にするものだった。

この度到着したロソマクは、第3弾の供与とみられる。その配備先に、第57旅団を選ぶのは当然だった。第1弾は、新設の第21独立機械化旅団に配備されたようだ。同旅団はスウェーデンが供与したストリッツヴァグン(Strv)122戦車とCV90IFVの全ても運用している。第2弾は、第44機械化旅団に配備されたようだ。同旅団はドイツ製レオパルト1A5戦車も最初に入手した。

これら3つの旅団は全て東部で戦っている。第44旅団はクレミンナ周辺で主に防御に回っており、第21旅団と第57旅団はバフムートの北側を南下している。ロシア軍は数万人の兵士と数千両の戦闘車両を投入し、明らかにウクライナ軍の反攻を打破しようとしている。

第21旅団はクレミンナ周辺で戦っていたが、どうやら南下して第57旅団の攻勢に加わったようだ。第57旅団とその周辺で戦っている旅団は、バフムートの北西部の端まで約1.6km前進。一方、バフムートの南西端では第3強襲旅団がこのところ大きく前進している。

旅団の装備を刷新するたびに、ウクライナ東部司令部の部隊からは旧ソ連の影が薄れ、同国が加盟を目指す北大西洋条約機構(NATO)の軍隊に近づいている。だが、その変化は単に見かけだけではない。西側製の戦車やIFVは一般に、旧ソ連製のものより射程が長く、射撃の精度も高い。同時に、乗員を保護する能力も優れている。

第57旅団には自国製の装備も配備されている。同旅団はこれまで、射程わずか16kmほどの122mm砲を搭載したかなり古い旧ソ連製の2S1自走榴弾砲で主に戦ってきたが、最近、自国製の2S22を少なくとも1門受け取った。

2S22は基本的に、現代的なNATO標準の155mm榴弾砲を大型トラックに据えたものだ。2S22の射程は約40kmで、2S1の倍以上だ。プロトタイプの2S22は、黒海西部に浮かぶスネーク島からロシア軍を撃退するのに役立ったことで知られている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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