18日にソーシャルメディアに投稿された同艦の残骸を写した写真からは、それがはっきりと示されている。ストームシャドーが着弾した中央部は外側にめくれており、ミサイルが艦体を貫通した後で爆発したことを示している。
#Ukraine: Photos showing the aftermath of the Ukrainian Storm Shadow missile strike on the Russian Pr. 636.3 "Rostov na Donu" submarine in Sevastopol- given the character of the damage we see, the missile hit the submarine in the follow through bomb mode, to devastating effect. pic.twitter.com/FzMil5Lly9
— 🇺🇦 Ukraine Weapons Tracker (@UAWeapons) September 18, 2023
これは設計通りの効果だ。英防衛企業BAEシステムズは、掩体壕(えんたいごう)などの厚い防壁を破壊するため、BROACH(ブローチ)という重量約400kgの二重貫通弾頭(タンデム弾頭)をストームシャドー用に特別に開発した。このタンデム弾頭が船舶に対しても同様に威力を発揮をすることは明らかだ。
ウクライナの空軍と海軍は、陣地内からセバストポリを攻撃できる射程約320kmの長距離攻撃兵器を他にも保有している。例えば、対地攻撃用に改良した海軍のハープーンやネプチューンといった対艦ミサイルがある。また空軍の強力なS-200防空ミサイルもあり、こちらも現在、対地攻撃で配備されている。
だが、ウクライナ軍の参謀の狙いは軍艦の破壊、具体的には、セバストポリにある第13船舶修理工場の乾ドックに入っていた軍艦だった。コンクリートと鋼鉄の層にミサイルを打ち込むためには、タンデム弾頭が必要だった。
ウクライナ空軍がSu-24M爆撃機に搭載している重さ約1.2トンのストームシャドーは、ウクライナ軍が保有する唯一のタンデム弾頭搭載ミサイルではないが、その中でも最高のものかもしれない。
仕組みはこうだ。低空飛行するストームシャドーがGPSや地形の照合、赤外線画像などで誘導され、最終的に標的に命中すると、まず先端部分の信管が、指向性爆薬が詰まった小型の弾頭を爆発させる。この弾頭は地面やコンクリート、金属の表面に穴を開ける。ミサイルが標的の内部に入り込むと、2つ目の弾頭が爆発する。
オスロ大学で兵器の拡散を研究しているファビアン・ホフマンは「この弾頭設計により巡航ミサイルは硬い標的物を貫通できる。以前はレーザー誘導爆弾でのみ可能だった」と説明。「そのため、ストームシャドーは表面が硬い標的に対して非常に有効な武器だ」とも指摘した。
ロシアは、セバストポリの乾ドック内で炎上した軍艦2隻を修理して復帰させると宣言している。だが、ストームシャドーがロストフ・ナ・ドヌーに与えた損害の規模をみると、そうしたロシアの主張は滑稽に聞こえる。外側の大きな損傷はさることながら、内部の損傷はさらに深刻であることは明白だ。
ロストフ・ナ・ドヌーは修復不可能なほどに破壊されており、ロシア海軍が第2次世界大戦後初めて戦闘で失った潜水艦となった。
(forbes.com 原文)