爆薬を積んだロシア軍のドローン(無人機)が19日かそれ以前に、ウクライナ中部ドニプロペトロウシク州クリビーリフ近郊のドウヒンツェベ空軍基地に駐機中だったミコヤンMiG(ミグ)-29戦闘機を攻撃し、損傷させた。一部のウォッチャーからは異論も出ているが、攻撃の映像がフェイクだと判断する根拠は乏しい。
Very interesting video of a Ukrainian MiG-29 fighter jet based at the Dolgintsevo Air Base near Kryvyi Rih being struck by a Russian ZALA Lancet loitering munition.
— Status-6 (@Archer83Able) September 19, 2023
The airframe appeared to be operational, though it can be concluded from the video that it suffered only minor… pic.twitter.com/jZDYZ5rukq
問題は、ロシア軍が運用する自爆ドローンの航続距離がいまや70kmほどに達しているらしいということだ。ウクライナ南部の前線とドウヒンツェベ空軍基地は直線でこれくらい離れている。
ロシア軍もウクライナ軍も、小型の自爆ドローンを用いて相手側の防空システムや火砲、補給車列、装甲車両をたたいている。ときには掩蔽(えんぺい)部や塹壕(ざんごう)にいる歩兵を攻撃目標にすることすらある。
こうした爆発型ドローンのなかで最も数が多く、最も効果の高い部類に入るのが、ロシア側のランセットである。ただ、基本モデルの「イズデリエ51」(重さはわずか約11キログラム)の航続距離はこれまで、40kmほどにとどまっていた。
つまり、ウクライナ側の主要な空軍基地や、それらを拠点とする何十機かのミグやスホーイはすべて、ランセットが飛んでいける範囲外だった。
だが、ロシアは航続距離がもっと長いランセットを開発しており、それを隠そうともしていなかった。ロシアの宣伝機関であるスプートニクは8月、最新モデルの「イズデリエ53」は航続距離が最大70kmにおよぶと紹介し、このモデルは「ランセットの進化の次の段階であり、設計者たちは阻止するのはまず不可能と見込んでいる」などと伝えていた。
ドウヒンツェベ空軍基地のミグに対する攻撃は、この新モデルの実戦デビューだった可能性がある。それと同じくらい憂慮されるのは、攻撃の様子を2機目のドローンが上空から撮影した映像から察するに、基地の防空システムが稼働していなかったか、あるいは稼働していても機能しなかったとみられる点だ。