同様のことは、物流大手UPSと、同社のトラックドライバーが加盟する労働組合「UPSチームスターズ・ユナイテッド」との契約合意に関してもあてはまる部分がある。両者は2023年夏、この契約合意によって大規模ストライキを回避することができた。
5年契約の最後には、給与と諸手当を合わせて1年に平均で17万ドル(約2500万円)をドライバーに支給するという報酬パッケージは、配送ドライバーの離職率を下げ、顧客に直接対面する労働者の技能向上に役立つテクノロジーに投資するという意味で、合理性のあるものだ。
UPSで現在進行中の「人材トラスフォーメーション」は、利益率の確保に役立つ可能性がある。つまり、配送サービスの「脱コモディティ化」を促進し、配送ドライバーをサービスのスペシャリストへと脱皮させ、顧客のロイヤルティを高めることが、利益の確保にもつながるという流れだ。
必要とされる「シンプル化」
壮大な概念は、シンプルな形に落とし込めた時に、最もその効力を発揮する。サプライチェーンのトランスフォーメーションは、非常に壮大な概念だけに、シンプルな言葉に置き換えて理解したいと取締役たちは考えている。これまで挙げてきた3つのメガトレンドは、AIや気候変動、中国、労働組合、高齢化、BRICSの動きといった注目のトピックに、2024年の事業計画という文脈の中で取り組もうとするときに、生かすことができるはずだ。事業計画の項目の大半は「デジタル化」「リージョナリゼーション(地域化)」「人材トランスフォーメーション」という3つのカテゴリーに入るだろう。
さらにこれら3つのメガトレンドは、投資家の最大の関心事項、すなわち顧客、リスク、利益にもつながるテーマだ。シンプルなかたちでまとめることをおすすめする。
(forbes.com 原文)