米国の主要輸入港における港湾業務実績は、全米小売業協会(NRF)が発表する「グローバル・ポート・トラッカー」報告書にまとめられている。これによると、現在入手可能な最新データである2023年2月の米国港における輸入コンテナ量は155万TEUだった(1TEUは20フィートコンテナ1個分)。
これは、2023年1月と比べると14.4%減。2022年2月からの前年同月比では26.8%減となっている。
通常、2月は年間で最も輸入量が少ない月ではあるものの、2023年のデータは、2020年5月の153TEU以来、最も低い数字だった。2020年5月はパンデミックのさなかだったため、アジアの多くの工場や、米国の多くの小売店が閉鎖されていた。
今後、年内は輸入が増加するとみられる。3月の輸入コンテナ量は168万TEU、4月は186万TEUと予測されている。
2023年上半期の輸入コンテナ量は1080万TEUと予測されており、2022年と比較すると20.2%減となる見込みだ。前年比で見ると大幅な減少だが、これは、パンデミックの余波により、2022年の輸入量が平年を大幅に上回ったことも大きい(パンデミック前の2019年の輸入量は、月平均180万TEUで推移していた)。
NRFは、消費者の高い購買意欲を背景に、小売業の順調な成長を予測している。しかし、経済は依然として課題を抱えており、その最たるものが長期的インフレだ。消費者は積極的な消費を続けるのだろうか? それとも慎重になり、必需品だけに絞り始めるだろうか?
こうした経済への懸念に加えて、NRFが指摘するのが、長年サプライチェーンを悩ませていた多くの問題が未解決のままであることだ。それらの問題はパンデミックによってさらに悪化したが、貨物流通量が少ない今こそ、共同して問題解決に取り組むべきタイミングと言える。とりわけNRFは、サプライチェーンを構成するパートナー間での情報共有や調整を改善し、次なる混乱に備える必要があると述べる。