テクノロジー

2023.04.12 15:00

アンケート結果にみるサプライチェーンDXの現状

木村拓哉

Getty Images

デジタルトランスフォーメーション(DX)とはよく使われる言葉だが、その意味の解釈は人それぞれだ。基本的に、DXとは、ビジネスのあらゆる領域にデジタル技術を取り入れることだ。私が勤務する ARC Advisory Group(ARCアドバイザリーグループ)では、DXが最も成熟しているメーカー25社の分析結果を発表している。この報告書では、先進企業を特定し、ベストプラクティスを紹介している。このレポートでは、DXの意味するところを全体的に捉えている。「先進的な企業は、戦略的なアプローチで、バリューチェーン全体にデジタル技術を統合している。企業がプロセスを検討・更新し、新しいツールやテクノロジーを導入することで、設計とエンジニアリング、生産オペレーション、メンテナンス、ロジスティクス、サプライチェーン、ビジネスシステム、顧客、製品、組織構造が革新的に変化していく」。

人々がDXを議論しているとき、その大半はサプライチェーンのDXに直接言及しているわけではない。そこでAPQC(米国生産性品質協会)が、サプライチェーンとロジスティクスに関する調査を実施し、組織が自社のプロセスや機能のパフォーマンスを同業他社と比較して評価に役立てようとしている。直近では、APQCがDXに関するベストプラクティスやベンチマーキング調査を実施した。この調査は、定量的なデータだけでなく、プラクティスやパフォーマンスドライバーに関する情報を収集したものだ。最終報告書では、サプライチェーンマネジメントにおけるDXの主要な実践の現状に焦点を当て、複数の業界を横断し、1100人以上の回答が集められている。

サプライチェーン内のDXの分野は多岐にわたる。このレポートは、在庫管理、輸送、車両整備、安全・コンプライアンスなどにおけるデジタル成熟度を含め、物流におけるDXについて業界横断的な視点で解説を行っている。

APQCによるロジスティクスにおけるDX報告

アンケートの回答者は平均して、物流・倉庫業の年間予算の14%をテクノロジーに割り当てていると報告している。そのテクノロジー予算のうち、平均30%がDXに割り当てられるのが一般的だ。いくつかの技術分野について、より深く見ていこう。
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翻訳=酒匂寛

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